世の中には豚汁を「とんじる」と読むか、「ぶたじる」と読むかで、それはそれはきのたけ戦争のような争いが繰り広げられているそうですね。
私は美味しければどっちでもいいです。
それにしても、寒い日の具沢山な豚汁というものは、どうして心にまで響いてくるものなのでしょうか。
とろっとろでホクホクの里芋に、滋味深く食感の良い牛蒡、甘く蕩ける人参に、出汁の旨味をたっぷりと吸い込んだ透き通る大根、ぶるんぶるんと楽しげに踊る蒟蒻。
そして忘れちゃならないのが主役の豚肉の存在です。
あの豚の脂身から滲み出た甘味や旨味がスーッと全体に溶けて馴染んでこそ、豚汁は豚汁として完成するのです。
ああ、これだけでご飯が何倍でもおかわりできる。
そんな豚汁ですが、家庭によって入れる具材や味の秘密なんかが違っていたりして微妙に変わるという、所謂「家庭の味」としての幅が広い、アレンジ豊かな食べ物だったりします。
おかげで各家庭ごとの個性が出て、これがまた楽しいのですよね。
また、とても温まる食べ物ということもあって、人恋しい冬の寒い時期に食べるとこれがまた沁みるんですよねぇ。
となると、そこに思い出やドラマというものも生まれるというものです。
これは、そんな豚汁が紡ぐ、おばあちゃんと孫の思い出の物語です。
どうぞあったかい豚汁と一緒にお楽しみください。