世界で水道水が飲み水として対応している国というのは、世界でも11カ国しかないそうです。
日本は数少ないその内の一つ、というわけですね。
日本の安全安心のインフラ万歳。
では他の国は人間には必須である水分補給をどうしているのかというと、先進国だとミネラルウォーターを買うのが一般的なわけです。
ただ、我々日本人が思っている以上に、水ってお高いんです。
お金持ちしか、奇麗な透明のお水を飲むという贅沢ができないわけです。
そんなわけで、ミネラルウォーター自体が希少だという国も結構多かったりするわけですね。
じゃあそんな国の一般庶民はどうするのかというと、代わりに果汁がたっぷりの果物で補ったりするわけです。
というのも、水よりもずっと安価でそういった果物が手に入るんですよね。
そういう背景もあってか、そういう国の市場なんかには、新鮮な瑞々しい色とりどりの果物を扱うお店が結構あるわけです。
何ならそれをその場で絞って、ジュースにして提供してくれるお店なんかもあったりします。
つまり、果物を売るお店というのは、それ自体が地域に根差した生活インフラだったりするわけですね。
本エッセイは、そんな果物売りのおじさんについてのお話です。
これがまた、アジアのマーケットにおける雑多さや、少し湿り気の感じる風、安価なのに瑞々しいパイナップルがたっぷり詰まれたお店の風景といったものが容易にイメージできるような、リアリティある想像力を掻き立てる空気感たっぷりに書かれています。
こりゃあちょっと南国気分のトロピカルな果物を頂くしかありませんね。
是非ともそんなアジアンフルーツを楽しみながらお読みください。
本作は、日常の何気ない場面を描いたものである。
アジアのある港町。
果物農家の方がトラックで果物を売りに来ていた。
それを、著者家族は買いに行く――。
なにか特別なことが起きるわけではない。
それなのに、とても丁寧にその時間は切り取られ、描かれている。
著者は文章によって、その記憶の情景を読者に“見せる”のがほんとうに上手く、毎度感動を覚える。
見知らぬ街、見知らぬ人たちのそこに確かに在った日常のひと場面。
たとえば映画の心に残るシーンというのは、なにも劇的なシーンばかりではなく、こうした特別ではない日常のシーンであったりする。
本作もまさにそういった日常の場面である。
何気ない、でもそれ故に心に焼き付き特別となった想い出を共有してもらったような、切なさと温かさの入り混じった感情を覚える作品である。
ぜひご覧ください。