第4話
時間は、何があっても過ぎていく。
記憶は、何があっても止まったまま。
いつも以上に憂鬱な月曜日の朝。
土曜日のモヤモヤが頭からずっと離れない。
テニス部の
久しぶりに一人の学校。
クラス内の騒がしさは、いつもと変わらない。
さっきからワークを開いてもやる気が出ないので、しょうがなく小説を読むことにした。
五分たっても、ページは一ページもめくっていない。
「来栖」
後ろを向くと、宮瀬がいた。
左手には、私が金曜日に貸した折り畳み傘。
「これ、ありがと」
「ん」
傘を受けとる。
ちゃんと袋に入っていて、何故か少し笑ってしまう。
「今日は傘あるんだよね」
またお昼過ぎから降るらしい。
三ミリとか、結構。
登校前に気象予報アプリで見た。
「え、雨降んの?」
えーっと、しょうがない。
多分こういうことだ。
「まだ持ってな」
宮瀬の手に折り畳みを渡す。
「じゃ、……借ります」
「そこ何の間」
「申し訳ないなーと」
普通なら、そもそも自分から物を貸すことなどしない。
でも、宮瀬には、何か、貸せる。
「この間、明日返すとか言ったけど、金曜だったもんな」
「ちなみに言うと、明日も休みだから」
国民の祝日。
何のためにあるのだろう、とたまに思う。
あって嬉しいものだから、疑問を持つ必要はないと思っているが。
「明日なー、練習試合だー」
「……頑張って」
変に間があいてしまった。
「来栖こそ、その間何だよ」
「いや、返し方に悩んで」
やっぱ失礼だ。
頑張って、くらいすぐに出てくるはずなのに。
てかそもそも、その返しで良かったのか?
また、やってしまった。
「冗談だって。頑張るわ、ありがと」
気にしてなさそうで良かったが、冗談、とは違うのでは。
「じゃあ明日、じゃなくて、明後日こそ返すから」
「ん」
何だか、久しぶりに自然と口角が上がった気がする。
透明な夜を彷徨う 夜彩 @yoa_log
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