第13話 ギフト
「きゃはははっ!神聖な天使様たちがこんな淫らな世界に来ちゃダメよ〜ん。」
天使たちの攻撃を軽々と避ける夢魔。
口調も相まって余裕があるようだ。
「くそっ、あいつ本当に実体あるのか!?」
矛を持った天使は堕天使に向けて叫ぶ。
「あります!絶対。ここが彼女にとって主体となる世界ですから。」
突如笹原の背後に現れる夢魔
「!?」
「っ龍馬!!」
天使は夢魔目掛け矛を投げ、間一髪で避けられる。すかさず天使は主を庇った。
「あ、ありがとうシエナ。」
二人から少し離れた場所で再び夢魔が現れた。
「体はまだ現実世界か〜い、リョーマ?」
舌舐めずりをしながら夢魔は続ける。
「すぐに体もこっちまで持ってきたげる。
そして3人で一生、快楽に溺れましょう。」
それに笹原はふとしたことに気づいた。
「つうか、さとみ君はどうして体まで夢世界にあるんだ!?」
その質問に遠くで横になっていたさとみは反応する。上半身だけを起こし、右肩に体を任せながら
「それは…俺がルディナに体をあげたからだよ。」
夢魔はそういうこと。と言わんばかりの顔をする
その主の言葉に堕天使は言葉を漏らした。
「やはり…殺すしかないですね。」
彼女の指に黒いナイフが現れる。
器用に両手5本指に挟み、鋭い眼光を向ける。
そして天使に語りかけた。
「天使。貴方の"ギフト"は何ですか。」
天使は先程飛ばした矛を手中に戻しながら
「…それは教えられない。」
その回答に納得する堕天使。
「では、なりふり構わず夢魔に攻撃して下さい。後は私がなんとかします。」
天使は溜息をつきながら主に諭す。
「…龍馬、自己防衛しろよ。」
そこ一体にヒュンヒュンヒュンとナイフが飛び交い、二つの武器が交わる音が響く。
天使が矛を振りかざす。右斜めに風を切る。
夢魔も負けじと短剣を巧みに操っている。
加え、飛んでくるナイフを華麗に避けながら。
2対1での激戦が続く中、天使たちの頭に常にあるのが主を守ること。それは絶対だった。
突然ナイフの横雨が止む。それに気づいた天使の視界の先には短剣を構える夢魔と、その後ろで座り込むさとみがいた。
「そんなに心配しなくても、さとみには当たらないよん。遠慮せずに投げて?」
夢魔の余裕な発言に堕天使は、微笑んだ。
「いえ、もう必要ないです。」
驚く夢魔。空いた口からは血が流れていた。
「えっ、ど、うして、…?」
堕天使はその要望に応えるかの如く、手から黒いナイフを出す。
「ただ黒いナイフだけを投げていると思ってましたか?」
夢魔は自分の腹を見る。透明で見えないナイフのようなものが、突き刺さっていた。
「幻想を持って幻想を制す。ただそれだけのことです。」
そう言い、堕天使は夢魔に近づく。
「さとみ様の体を返してください。
素直に従えば見逃して差し上げます。」
「ごほっ、て言ってアタシが死んだら、さとみの体わからなくなるって思ってる?」
「もちろんです。だから今聞いてるんですよ。」
腹にナイフが刺されたままの夢魔は振り返り、さとみにこう聴いた。
「さとみは現実世界に帰りたい?」
さとみは首を振る。堕天使の顔つきが変わった。
「どうしてさとみはアタシに体をくれたか、それはね。もう全て嫌になったからよ。」
さとみ含めた4人は沈黙のまま夢魔の話を聞く。
「最初に出会った時は11歳くらいかな。
その時はまだアタシを受け入れなかった。
それよりもお父さんの恐怖が大きかったって。」
笹原は目を細めた。
「そこからはほとんど、呼んでくれなかったけれど…。やっと先日、アタシに捧げてくれたの。」
夢魔は胸に手を当てる。
「夢世界に流れ込むさとみの夢はいつも酷いものばかりだった。でも、酷いのは夢だけじゃなくて現実にまでも。だから、さとみは楽になりたくてアタシを選んだの。」
気づけばさとみは夢魔の近くに来ていた。
「さとみを主とするなら、さとみの幸せを願うんじゃないの?ならこのまま夢の中にいさせてあげて。」
倒れる夢魔を不安な表情で介抱するさとみ。
その光景に堕天使は動けずにいた。
-さとみ様の幸せを願うなら-
「俺は、さとみ君のこと好きだし。
さとみ君は幸せになってほしいと思ってる。」
そこに、人間の青年は笑顔でかたる。
「だから、地獄の底まで付き合うよ。」
歪み切ったその言葉が一瞬にして場を牛耳った。
が、刹那。
「!!」
「!?」
笹原が姿を消した。それだけじゃない。
天使二人はお互いの姿以外、何も見えなかった。
「これは…!?」
天使は堕天使に状況を問う。
「笹原様の精神が何らかによって、戻されてしまったのかもしれません!」
辺りを確認しても真っ白のまま何も見えない。
「とにかく、現実世界に戻るぞ!」
二人は夢世界を後にした。
僕の未来図鑑 第一部 @gttuPan
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