月とロケット
槇本大将
第1話
重力が守ってくれているこの身体は、重力の腕を振りきっていま飛び立つ。
グルグルと回りながら、今日をずっと繰り返している地球という天体から旅立つ。
そして、宇宙規模じゃほとんど離れていないお隣さんのもとへと向かう。
と言っても、光の速さでも、少し時間がかかる距離。
そこまで行って、必死な犬みたいにそこに落ちてる石ころ拾って、また、帰ってくる。
たったそれだけ。
だけど、かかわる人々全員必死になってる。
太陽系をデカい公園とすると、デカい公園の広場太陽系で必死なロケットとその飼い主が宇宙規模で遊んでいる。
さあ!とってこい!とグルグル回る遊具にのった飼い主のもとからダッと一目散にスタートする。
飼い主のもとから遠く離れる。
宇宙規模のじゃれあいは、地球の場合よりもずっと長い孤独と戦わないといけない。
くっついてランデブー。
ロケットは飼い主に頭を撫でてもらっているが。
さあ!とって来いって言われてダッと駆け出すと、それから長い間とてつもなく長い距離をロケットは大宇宙一人ぼっちなんだ。
ロケットもそうだけど、飼い主もさみしい。
ロケットのワンって声もたまにしかきこえない。
宇宙規模の遊びで、姿なんてとっくの昔に小さく消えてしまっているもんで。
ロケットは、今元気なんだろうか?と飼い主も心配なんだ。
飼い主とロケットはお互いのことを思っている。
その引き合う思いが重力なんだ、ってどこかの詩人は断言していた。
ロケットを思う飼い主。
せめて、たまに無事だと声がききたい。
飼い主を思うロケット。
ずっと、飼い主は自分の事を待っててくれているか。
忘れ去られてないかが気にかかる。
引き合う思いを抱えた2個体は、広大な太陽系の中を飛んでゆく。
はたから見たらゆっくりだが、それははるか遠くから見ているから。
実際はとんでもなく速いスピードでロケットと飼い主は運動している。
くしゃみを一つしてロケットは月に到着した。
必死な犬みたいなロケット。
月にある石ころを拾って咥えて戻ってこようとする。
月の石を咥えたロケット。
さあ帰ろう!
でもどこへ?アァ
なんてことだ。ロケットは帰るべき場所を見失ってしまったようだ。
宇宙規模のかくれんぼが始まった。
同じときロケットの飼い主は、ロケットに向けてココだのメッセージを送っていた。
ロケットの姿は見えないけれど、計算してココだって場所へ向けて精いっぱいの大きなメッセージ。
大丈夫だろうか?ロケットはそのメッセージに気づくだろうか? なにしろ宇宙規模のかくれんぼだ、お互いの事なんてとっくの昔に見失っている。
アッ!ロケットが飼い主のメッセージに気づいたみたいだ。引き合う二つの個体の間の、絆はずっと見えなかったけど。
存在していたみたいで、宇宙規模のメッセージのやり取り。
引き合う二つの個体は再び出会ってじゃれあうために公園太陽系のはじとはじからお互いを見つけて確認した。
必死な犬みたいなロケット。
月の石を咥えて一目散に飼い主のもとへと戻ってきた。
月とロケット 槇本大将 @makimotodaisuke
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます