亡母とココア・三島の名作

なかむら恵美

第1話


庶民の子。

平凡階級の娘(むすめ)であった亡母は、しかし、その年代にしてはモダンであった。派手で、グルメで、お洒落好き。ブランド物も好んで着た。

飲み物では、ココア。インスタントではない。森永の、牛乳で練って作る商品を好んで購入。わたしが小さい時から、良く作っては飲んでいた。

昭和18年生まれ。

育ち=戦後史みたいな子供の日のどこに、ココアとの接点があったのか?

給食の牛乳とて、脱脂粉乳。病気の時に食べられるのが、バナナである。

小学高学年の頃に、お金持ちのお友達の家で飲んだのだ。

「うまい!何て言うの、コレ?」

「ココアとか言うらしいよ」

(ココアか、ココア)以来、ずっと美味として響く言葉と味となった。

仮に5年生。11歳とすると、昭和29年である。

「西洋汁粉」

その年に刊行した本の中で、美味をズバッと斬った作家がいる。

三島由紀夫だ。

「潮騒」

小さな漁村を舞台とした、少年少女。若い二人の美しい恋物語の初版は、

丁度この年。昭和29年である。

「ココアって、何や」

「西洋汁粉みたいなもんや」

某件(くだん)にある。

今の時代「ココア」と「(せいよう)汁粉」ー。お汁粉の味を結びつけるのは難しいが、「お汁粉」=ドロドロしてる(?)。そのドロドロさがいいが。

小豆一粒とっても今とは雲泥の差だし、ドロドロさのレベルが当時と今では、

かなりだろう。

けど昭和29年の世の中では、相当、お洒落だともいえよう。




〇濃き滋味も 「西洋汁粉」と 筆三島

              かつての認識 今昔ココア

                  <短歌 なかむら>


                             <了>


              

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