語りかけるように届く、歴史のもうひとつの声
- ★★★ Excellent!!!
読んでいるうちに、時代や血のつながりを超えて静かに息づく「魂の記憶」や、見えない縁の力に心が惹かれました。語り手の淡々とした口調の中にも、長い歴史の影や哀しみ、温もりがじんわりと伝わってきます。
「とんがらし地蔵」や童歌が物語にやわらかな彩りを添え、現実と幻想が絶妙に重なる世界に思わず引き込まれました。歴史小説が好きな人はもちろん、「家族」や「生まれ変わり」といったテーマに関心がある方にもおすすめです。
静かに心に語りかける優しさと深さが、読後も長く余韻として残る一作です。