5本目 不人気ゼミの重い空気 ①
「おいおい、あいつらじゃねぇか?確かポーションゼミの。」
「初日から謎の薬品の煙ぶちまけた奴らか…」
「あれの匂いで周囲の動物が逃げ出したらしいぜ…」
「とんでもねぇ奴らだな…。」
「どうしよう…もう噂になっちゃってるよ…」
「気にしないでください。若者はああいう噂話が好きですよね。」
学校に登校していると、生徒たちはリノとナイトのことを指さす。
「でも、こんな噂出ちゃって、大丈夫ですかね?ちゃんと授業とかできるのかなぁ…。」
「大丈夫だと思いますよ。そんなに激しく怒る先生でもなさそうですし。」
「あははそうだね。」
二人が教室に入ると、重い空気が流れていた。
「な、なにこれ…!」
地面を見ると、黒い煙が溜まっている。物理的に重い空気が地面を漂っているのだ。
「どういうことですか!リド先生!」
「あ~、リノとナイトか、早かったな。ごめんな、今新薬の研究中なんだよ。」
「なんで教室でやるんですか!ちょっ、これ足上がんないんですけど!」
リノがあたふたしていると、ナイトが諦めたように天井を見る。
「ど、どうしたんですか!?ナイトくん!」
「…リノさん、幻滅しないでくださいね。僕、今すごいトイレに行きたいです。」
「幻滅しますよ!しないわけないですよ!」
「ちょっ、いや、トイレって言っても大きい方ではなく」
「説明しないでください!」
「なんだよ、二人ともうるさいな。そうだ、確かナイト長い棒持ってたろ、それであの小瓶取ってくれ。」
「棒じゃなくて、剣ですけど…ていうか、先生が取ればいいじゃないですか!」
「いや、ほら俺も動けないから。」
「何してるんですか!!」
「しょうがないよナイトくん!とにかくリド先生の言うとおりにするしかない!」
「よ、よし、あの瓶ですね…。」
ナイトは、下半身が上手く動かず、どうにか上半身の力だけで棚の小瓶に剣を振る。しかし何も起きない。長さがあと数センチ足りていないのだ。
「ダメです、届きません。」「諦めるなよ!お前はそんなやつじゃないだろ!」
「先生まだ僕のことほとんど知らないでしょ!ずっと気になってたんですよ、僕らが入った時のリノとナイトか…ってやつ!僕たち初日に色々あって学校休みだったせいで、先生と会うの2回目ですよ!?そんなお馴染みみたいに言われても!」
「ダメかぁ…。他のゼミは結構教師と生徒が打ち解けてたから羨ましくて…。」
「元はと言えばあんなものリノさんに渡したあなたのせいですけどね!」
「どんなに危ない道具も、使う奴が気をつければいいというのが俺の持論だ。」
「ごめんなさい…。」
「あ、リノさんが謝らなくていいんですよ!?」
「と言ってもなー…このポーション、なくなるまであと数時間あるぞ。」
「あの瓶には何が入ってるんですか?」
「あれは、打消のポーション。中級以下のポーションの効果なら消せるぞ。ちなみにいま床に充満してるのは重化のポーションな。ただ、調合ミスると空気に効果が移ってしまってこうなるんだよ。」
「へー、ポーションって面白いですね。」
「リノさん、なにのんきにメモしてるんですか!?」
「だって、先生が役に立つ情報を言ってたので。」
「わかりました。あなたがすごい真面目な生徒なのはわかりましたから、今はまずあの小瓶を取る方法を考えましょう。リノさん、魔法は?」
「使えないです。」
「えっと、先生は…?」
「採取用にしか魔法は学んでないからな…探索とか役立つ奴しか。」
「具体的に、何を使えるんですか?」
「えっと…洞窟照らす魔法だろ、空から地面を見られる魔法、図鑑を取り出す魔法、インクを補充する魔法…あとは」
「もう十分です。もうなさそうなので。」
(どうするナイト…!僕ももちろん魔法は使えないし…そろそろ僕たちの他にも生徒が来てしまう…。あ、そうだ!)
「何か思いついたんですか?」
「みんなを待ちましょう!特に、貴族の人たちなら何か役に立つ魔法が使えるかも!」
「そんな、まるで先生の魔法が役に立たないかのように…。」
こうして、リド、リノ、ナイトの3人は他の生徒を待つことにした。
次の更新予定
2026年1月24日 22:00
採取オタクのポーション研究(趣味)の記録 ヨモギ丸 @yomogu_bekarazu
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