予知夢探偵
@daidai0034
第1話 【愛憎の殺意】
夢を見たー
どこかのアパートの一室。
重苦しい雰囲気の中、若い男女が向かい合って座っている。
「…どこの女?」
女がおもむろに口を開く。
だが男の方は何も答えず黙りとしている。
「黙ってないで答えてよ。どこで知り合ったの?あたしの知ってる人?」
女は更に問い詰める。
しかし男は一切答えようとはしない。
しびれを切らした女は、男の足元に置かれている携帯電話を手に取ると、それを男の顔の前に突きつけて
「今すぐその女に電話して!あたしが話す!」
と口調を荒くして言う。
そこで男は、女が突きつけた携帯電話を力強く取ると
「だから、何もないって言ってるだろ!」
と、こちらも口調を荒くする。
「だったら!何でいきなり別れようだなんて言うの?他に女が出来たとしか思えないじゃん!」
女が負けじと言い返す。
しばしの沈黙が続いた後ー
男は観念したようにため息をつくと、なにやら携帯電話を操作し始める。
そして画面を女の方に向けると
「…こういう事だよ。悪いな」
と吐き捨てるように言った。
携帯電話の画面を見せられた女はしばらく唖然としたような表情をしていたが、やがて我に返り
「…なんで?なんでよりによって…」
と、今度は力無くつぶやく。
「とにかくそういう事だから」
男はそう言ってその場から立ち上がろうとする。
だが男より先に女はスッと立ち上がると、台所の方へと向かっていく。
怪訝そうに男が目で追っていると、やがてその表情が蒼白のものへと変わっていった。
女は台所の下から包丁を取り出すと、それを両手で構えながら男の方へと歩み寄っていく。
「お、おい…冗談はやめろよ」
男は震えた声で言いながら、座ったままその場からゆっくり後ずさりする。
同時に女もゆっくりと歩み寄る。
「…してやる」
女が消え入りそうな声で何かつぶやく。
「…え?」
「コロシテヤル!」
予知夢探偵 @daidai0034
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