最近、発掘が始まった穴穿遺跡。
そこで奇妙な土器が出てくる。
それはクラインの壺のような形をしていた。
どうしてこんなものが出てきたのか?
そこから物語は大昔の時代へと移る。
ある国に謎の穴があった。
その穴は昼に見ると夜空のようで、黒い空間に星々の輝きがあった。
逆に夜に見ると昼のようで、眩しいくらいに光っている。
その国では、穴穿の神事と言って、
「ほ――ぢ、ほぢ。ほ――ぢ、ほぢ」と詠唱しながら光る神宝を持ってその穴に入っていくという行事があった。
それを行うのは穴穿の皇子と呼ばれる者。この国一の美貌を誇る姫は、彼の妻にならないといけないようだ。
彼は見目が悪かったので、嫁ぐことを周りは不幸なことだと思っていたようだが、姫はだんだん彼に惹かれていく。
しかしそんな二人の恋路や神事を邪魔しようとするものが現れる。
さあ、ここから二人の仲は、神事はどうなってしまうのか。続きは是非あなたの目で確かめてほしいです。
非常に壮大でロマンのある話で、読みごたえがありました。おすすめです。
「歴史」や「運命」というような言葉を感じさせられる作品でした。
とある教授と助手が発掘した古墳時代前期頃の遺跡。そこには奇妙な形状の土器などがあるのがわかる。
そこで何があったのかと教授たちは想いを馳せ……。
過去の時代、姫巫女は「穴穿の皇子」と呼ばれる男と無理矢理に結婚させられることになる。穴穿は容姿の面でもあまり良いとは言えず、周りからは不憫がられることに。
一方で穴穿の皇子とされた男は、ただ土を掘るのが得意なのを買われ「皇子」の地位に祭り上げられただけの人物だった。
危険な「祭事」を行わさせられることになるので、本物の皇子にそれをやらせるわけにはいかず、男はその代わりをやらされることに。
容姿はたしかに良くないが、それでもまっすぐな瞳を持った穴穿。彼の人となりと触れていくうちに姫は彼を憎からず思うようになっていく。
でも、そんな二人の平穏を壊そうとするような動きも起こり……。
どことなく、手塚治虫の「火の鳥」の黎明編やヤマト編を思わせる雰囲気もあり、その系の作品が好きな人には間違いなく刺さる作品でした。
ただ必死に生きる。時代や自然や神、そういった世界のあらゆるものに翻弄されつつも、強くもがき続ける人々。そんな「生き様」をありありと見せつけられ、自然と彼らの「その後」がどうなるのかと想いを馳せるようになっていく。
壮大な一個の叙事詩のような広がりがあり、読後に大きな満足感が得られます。
物語の舞台は、弥生時代なのでしょうな。
その集落には不思議な穴がありました。穴の大きさは、女性が手を広げたぐらい。
1m70センチくらいの径でしょうか。
実に不思議な穴にございます。
昼間は穴の中は真っ暗で、覗き込めば星のような光がみえ、
逆に夜になると光を放つ。 あべこべなのです。
この集落の一族には、巫女の夫となるものが穴の中で神事を行い、皇子になることがしきたりなのですが、
神事を終えて生きて出たものはございませんでした。
ここに、ある醜い男がおりました。
遠く、文明の栄えた国からやってきた男ですがとにかく見栄えが悪い。
しかし、この穴の理に興味を持ち、神事を行う事に決めるのです。
この物語を理解するには、とにも書くにも、
まずは『クラインの壺』を検索することから始めることをお勧めいたします。
この物語の重要アイテムなのですが、造形が複雑なもので、
まずここで混乱する可能性がございます。
ですが、下調べさえしっかりすれば、この物語の持つサイエンスなロマンに、
なるほど!! と膝を叩くことでしょう。
お勧めいたします!!
ご一読を!!