男友達だと思ってたら爆乳美少女だったので、思う存分楽しむことにしました。

不労りング

甘々な日々



キーンコーンカーンコーン…


翔陛しょうへいくーん!

お昼ご飯いっしょに食べよっ!」

「べべべ弁当、作って、きた…うひ」

「無論、ワタシもだ。

どうだろう、この際4人で相席というのは?」

昼食時を告げるチャイムの直後、美少女たちが押し寄せてくる。

授業が終わるより前に片付けを済ませていなければ不可能な早さだった。

こちらが無機物同然に固まる事を理解している性の怒涛は、返事を待たず押し流しにかかる。

「じゃあ机余ってるし、くっつけちゃおっか」

と、耳にハチミツを叩きつけるが如きトロ甘声。

淫靡な桃髪を事あるごとに振り乱す正統派美少女のクスィーだ。

エロカワイイ。

「わ、わた、し、翔陛の隣が…いい」

人肌の粉雪みたいに儚く暖かい声が続く。

ちっこくておとなしい子犬系美少女のカムイ。

エロカワイイ。

「よし、ではキミたちで翔陛を左右から挟撃。

ワタシが正面を抑え、逃げ道を封じるとしよう」

最後に…DLCコスのセーラー服女騎士系美少女マキナ。

エロエロイイ。

彼女が鈴のような魔除けの威厳を持った優しい声を響かせるに至り、俺の処理能力は限界に達した。

「だーちょっと静かにしてくれ!

まだ書き取りの途中なんだよ!」

俺が喚くと3人とも素直に黙った。

少々押しは強いが全員良い子なのだ。

問答無用で食卓を囲もうとするパワフルな求愛にしても、全て俺の為を思っての事だと断言できる。

できるが…その愛情で俺が喜べるかどうかは別問題である。

俺は書き取りを潔く諦め、持参した弁当片手に立ち上がりつつ叫んだ。

「みんなごめん!

俺あいつと食う先約があるから!」

あいつを指差す。

1つ隣の席…窓際に立つ円筒を。

「えっ先約?

してないけど」

円筒からの返事は無慈悲なものだった。

「察してくれよ!

マシンなんだろ!?」

俺が泣きつくと円筒型マシンは目っぽい部分をチカチカ点滅させて笑いを表現した。

「そりゃあもちろん察した。

オレは最新型だからな。

ただ、こう言えば面白い反応が見れそうだな〜って」

「もういいから来い!」

「あいよ」

俺が教室から逃げ出すと、円筒もキャタピラをジージー鳴かせながらついて来る。

それは美少女たちの甘く暖かく優しい抗議の声よりよっぽど安心できる音だった。


「はーやれやれ」

校舎屋上のど真ん中に円筒と並んで座る。

円筒のサイズといい金属の質感といい、遠目で見れば博物館から焼却炉でも盗んできたように見えるだろう。

さぞかし滑稽だろうが、正直その悪目立ちはクソガキ心に痛気持ちいい。

って言っても、屋上に来る奴なんか俺達以外誰もいないんだけど…。

「せっかくのお誘いなんだ、オレもメシにするか。

あ゛〜晴れの日の直日は紫外線が一層コク深いぜ〜」

おそらく我が校で唯一屋上に来る理由を持つ太陽電池式の円筒は、パネルを広げくつろいでいた。

「紫外線にコクとかあんの?」

「おいおいマジで言ってんのか?

屈折率とか赤外線とのハーモニーとかあるだろ」

「わかんねーって」

「マシン生の半分損してるぜ」

「マシンじゃねーから」

低レベルなボケツッコミで笑いあう。

直接口に出すのはクソガキ心が許さないけど、俺はこの関係が大好きだ。

古典SF的レトロボディの幼馴染は、掛け値なしに親友と思えた。

「それよりいいのかよ?

いつもいつもクスィー達から逃げてオレと遊んでばっかで…。

本当はやる事やりたいんじゃないのか?

パンパンパーンと」

目の明度を訝しげに上下させ、蛇腹のアームで身振り手振りしつつ聞いてくる。

美少女相手にパンパンパーンとやる事…つまるところセックスの話だった。

あまりにあけすけな質問。

しかし俺はためらわず答えた。

親か教師あたりから聞かれたなら鋸挽きにも等しい極刑だが、親友と認める男友達相手からだと単なるトスだ。

「ああやりたいよ。

やりまくりたいよ!

でもそれだけで済むわけないじゃん?

付き合うとかになっちゃうじゃん?」

「付き合えば?」

「あいつらには申し訳ないけど…嫌だ。

あんな上位存在の感情になんかついてけないって。

一緒にいる間ずっと自分がカースト最下層だってわからされ続けるんだ、惨めすぎるよ」

「そんないまさら。

素直に世話焼かれたほうが無難そうだがね」

「ようやく赤ちゃんから育ってきたのに、今さら赤ちゃんプレイしたくねーの」

「そういうもんかねぇ…ん?

なんかオレは上位じゃないみたいに聞こえたんだが」

「だってほら…お前はオンボロマシンだし」

「なにぃ〜この魅惑のレトロボディのどこがオンボロだってんだ。

ちょっとキャタピラがうるさくてアームが掴みにくくて電池切れたら動けなくてメンテがめんどいくらいで」

「オンボロじゃん」

「はははっ、まあな。

いいさ…要するに、お前がオレの見てくれにシビレてるって事に違いはないんだからな。

趣味が合うんだ、文句はねえ」

シビレてる…とまではいかないが、こいつの外見に癒されてるのは本当だ。

焼却炉に目鼻とでも言うべき金属塊が相手なら最下層を自覚せずにいられる。

見下してるわけじゃない。

横並びになれたような感覚が落ち着く…それだけだ。

「話戻すけどよ、オレとしちゃあお前にあいつらと恋してほしかったんだよね〜」

「なんでだよ」

「お前オレしか友達いないだろ?」

「うぐっ…だから?」

「だからよ、オレに恋バナとか恋愛相談とかしてくるんだろな〜って。

やってみたかったんだよね〜そういうの」

こいつは妙に好奇心旺盛だ。

それで円筒型のくせに動き回るからしょっちゅうぶっ倒れている。

俺が起き上がりを介助した回数は3桁を下るまい。

そんななので、俺も実験的な扱いをよく受ける。

俺はこいつの外見に癒され、こいつは俺で好奇心を満たそうとする…俺達はそういう風に過ごしてきた。

改めて説明するとやや打算的な関係と言わざるを得ない。

しかしその打算を互いに承知の上で、全部ひっくるめて仲良くできているのだから、やはり親友と呼んで差し支えない…と思う。

さて、そう前置きはしたが…もちろん親友だからって何でも言う通りにしてやるわけではない。

「恋愛相談なんて他の奴らのを聞きゃいいじゃねーか。

お前は友達多いんだし」

「いやいやダメダメのダメ。

ダーメダーメ。

もーあいつらじゃ話にならんのよ。

相談なんてするまでもなく全部完璧にうまくいっちゃうんだから。

もっとこじれてくれんと。

そういうわけで、お前が唯一の希望だったんだ」

「俺ならこじれるとでも?」

「既にこじれてる」

「むぐぐ…確かに」

「いっそカムイあたりに

『さっさと押し倒せ』ってアドバイスしてみるか」

「やめてくれ…」

反射で拒絶。

押し倒されて事に及んでも、そこから付き合っても、結婚しても…万事上手く運ぶのだろう。

たぶん、いや絶対に。

100%間違いようもなく。

美少女たちにはそれだけの力がある。

でも俺は、いつまでも友と遊んでいたかった。


翌朝。

俺はいつも通り遅刻ギリギリに登校した。

いかにAIによるサポートが完璧といえど、俺が寝ていようとする限り俺は起きないのだ。

したがって俺が余裕もって登校する事などありえないのである。

いつも通り全生徒が通り抜けた後の下駄箱を行き、いつも通りペタペタ鳴る上履きの独奏を独りで聞き、いつも通り和気あいあいとした教室へ入った。

「………えっ?」

瞬間、喉が失禁した。

教室は昨日までと全く様変わりしていた。

物理的な割合で言えばほとんど、99%同じ。

だが心理的には…俺にとっては、教室は自席と隣の窓際席が全てなんだ。

窓際席…そこにいたのは、長い黒髪の美少女だった。

ごく自然に、そうあるべきと言わんばかりに頬杖をついていた。

「あ…あのっ!」

失禁が収まらない。

意識する間もなく黒髪女に詰め寄っていた。

いつも通りを取り戻したくてたまらなかった。

別に何を言ったところで円筒が生えてくるわけもない。

遅刻なんてありえないあのマシンが今ここに居ないという事は、またどこかでぶっ倒れてるとかキャタピラがいかれたとか、とにかく言葉で解決できないトラブルがあったに違いないのだから。

それを理屈で解しながら、なおも行動せずにはいられなかった。

「そこ…どいてくれるかな」

「…………………??」

女は不思議そうに見返してきた。

日本語が通じていないのかもしれない。

なるほど、翻訳ソフトを無視してわざわざ外国語を学ぶような変態だから、このような暴挙に走るのか?

ともあれ、学力も最下層の人間は日本語を繰り返すしかなかった。

「そこはあいつの…………。

あの…………………ジグラの席、だからさ…………。

空けといてほしいんだよね…」

ジグラとはもちろん円筒型マシンの名前だ。

普段呼びかける際はおいとかお前とかなので、つい照れて間が空いた。

「ふふふっ」

女の返答は微笑みだった。

黒髪女だけではない。

クラスの全員が笑っていた。

ひとかけらの悪意も持たず。

何も無い所で転んだ子猫を愛でる母猫のように。

「これが女の感覚なのか。

今日はいつもよりお前が可愛く見えるよ、翔陛」

「えっ?」

「おいおいそろそろ察してくれよ。

オレは最新型だっていつも言ってるだろ?

対応するボディなんかいくらでもあるんだぜ」

「あっえっ…ジグラなの!?」

「おうよ。

おっぱい揉むかー?」

黒髪女…ジグラは春の太陽みたく暖かに笑い、爆乳をどゆんと持ち上げた。

俺の処理速度では日常の崩壊を理解するのが精一杯だった。


キーンコーンカーンコーン…


「翔陛くんっ!

一緒にご飯食ーべよっ!」

「ひひ…肉、あるよ…」

「奇遇だな、ワタシは米だ」

その日の昼。

またいつものように三人娘が攻めてくる。

いつもの癖で窓際へ振り向くと、ジグラには美少年たちが群がっていた。

「はははっ!」

楽しそうに談笑するジグラ。

もともと気さくで行動力抜群のジグラは人気者だったが、女性型になった事で男人気が爆発したらしい。

「(………今日は無理、だよな………。

いや、今日だけじゃない。

あいつが元の体に戻りでもしないと、もう前のようにはいかないんだよな…)」

さすがに朝から昼までかければ最下層の脳でも処理が完了する。

色々諦めた俺は弁当箱を三人娘のそれと並べようと持ち上げ


グイッ


…持ち上げたら、その腕を持ち上げられた。

「一緒にメシ食いに行こーぜ」

腕を掴んだ黒髪女は返事を待たず引っ張って行った。


「ほむほむ、もぐもぐ…ほむほむほむ。

味覚ってのもなかなかいいもんだな。

オレ史上五本の指に入る味だぜこのパン」

屋上で2人っきり。

いつもの光景…では全然ない。

黒髪のキューティクルやベージュ肌の輝きは焼却炉と似ても似つかない。

しかし購買で全種類のパンを買い片っ端から食いまくる黒髪女は、好奇心任せの言動がまるっきりジグラそのものだった。

それを見ているとだんだん元通りに話せそうに思えてくる。

いや、そもそもこいつはマシンじゃないか…何も気後れする必要なんかない。

俺を悪いようにするはずがないのだ。

堂々といこう。

「色々聞きたい事がある」

「どーぞ」

「いつものオンボロはどうした?」

「昨日地震の時間があったろ。

午後19時から震度3で10秒間」

「ああ、地殻エネルギーの発散か」

「耐震トランプタワーに挑戦したら、うっかり脚立からガシャーンとな…」

「ポンコツ!」

「いやいやあれはノーカンだって。

オレんとこだけ震度7あったってマジで」

「それで大丈夫だったのかよ?」

「ああ。

頑丈が一番の取り柄だし、バックアップもある。

だが今までの積み重ねであちこち傷んでたんでな、ちょうどいいタイミングだし、こうなったってわけ」

「…ちょうどいい?」

「ふぇっふぇっふぇ。

お前、さっきからずっとオレのパンツ見てるだろ」

「がっ!

そっそれは…」

図星である。

しかし弁解させてもらいたい。

見てるんじゃない、見せつけられてるんだ。

ミニスカで無造作に片膝立ててりゃ嫌でも見える。

おかげで俺は体育座りを余儀なくされていた。

「パンツっていうか太もも?

それか下着越しのオマ」

「わーわーわかった見てる!

見てます!

パンツ周辺をまんべんなく見てます!

そんな事より、なんだよちょうどいいって!?」

「昨日話したろ。

恋愛相談したいって。

でもお前はヘタレてる。

オレ以外とはまともに相手できやしねえ。

じゃあオレが直接恋やりゃいいじゃんって寸法さ」

「お前男じゃなかったのかよ!?」

「いや、マシンだし。

精神的雌雄はねえよ」

「一人称オレなのに!?」

「短い。

発音しやすい。

性格にしっくりきた。

そんだけだよーん」

「そんだけってお前…。

俺はずっと男友達のつもりでいたのに…」

「男のほうがよかったか?」

言いつつ、フィクションのお色気キャラばりに足の組み替えを見せつけてくる。

こっちの内心のリクエストを読み取り、何度も何度も繰り返し。

回数のせいでちょっとバカっぽい動きにも映るが、太ももから尻にかけて揺れる肉とグニャグニャ歪む下着越しの膨らみは大変目の毒だ。

胸が高鳴る。

下腹部は勝手に飛んでいきそうなくらい張り詰めている。

…シコりたい…いや待てダメだ数学だ数学を思い浮かべて落ち着くんだ!

「あはっ、すっげーハアハア言ってる。

聞くまでもなかったな」

脳裏にうろ覚えの方程式を描くのに夢中で呼吸の制御までは追いつかない。

だがこればかりは他にどうしようもない。

いま俺の心臓を鎮める方法があるとすれば死だけだ。

せめて何か言い返すくらいしないと…このままじゃ暴発するまでからかわれる。

「くっ…お前もあの3人と同じってわけかよ…。

俺が学校唯一の純血人間だから精子が欲しいのかよ!」

「え?

いや別に。

オレは趣味でレトロボディ使うような好事家だよ?

あいつらほど真面目じゃない。

同じマシンヒューマン(MH)になったからってそこまで同じにはならんさ。

少なくとも今日明日には」

「…変わる可能性はあるのか」

「そらお前、基幹AIならいざ知らずオレはいち端末だし。

ちなみに変わるかどうかはわかるが、どう変わるかはわかんねーぞ。

あんまヘタレてっと、オレもイケメンMHとくっついちまうかもよ〜?

いいのかな〜?」

「…………嫌だ」

「よし!!

じゃあおっぱい揉め」

「なんでそうなる!?」

「だってもう仲良くなる段階はクリアしてるし。

飛び級だよ飛び級」

「だからって…」

「オレが試したがりだって知ってるだろ?

女型の性感ってやつを試したいんだよ。

ほら、校舎に直座りだと痛覚が鬱陶しいからお前の膝貸せ。

今さら勃起くらい気にすんなって!

ほらほら!」

無理矢理あぐらをかかされ、その片膝にどむんと重量感ある尻が乗る。

ここまで事態が進むと心境は却ってシンプルになっていた。

早くトイレに行きたい…。

「さあやれい」

「はい…」

ジグラはひたすら堂々としている。

本当に本気で揉まれたいんだろう。

そして当然俺も揉みたくはある。

断る理由は無かった。

制服を突き破らんばかりに内から押し広げる乳めがけ手を伸ばす。


もよん


「おおお…」

再び喉失禁。

感動だ。

何を言っているのかわからないかもしれないが、男子高校生にとって爆乳とは霊峰であり秘鍵であり神話の果実なのだ。

見るだけでありがたく、触れれば新世界の扉をくぐり、我が物にできれば一生分の冒険にも等しい価値があるのだ。

俺はまさしく爆乳後の新たな現実を目の当たりにしていた。


もよんもよんもよんもぎゅんもぎゅもよん


ただ、その現実は幻想の熱を急激に冷ましていくものでもあった。

比類なく気持ちいい。

クッションとしてなら、だ。

途轍もない性的快感を予想していた脳は動物触れ合いコーナーレベルの快感を静かに客観していた。

「…んっ、はっ、あ、あっ…ふぅ…」

…という矢先、ジグラの甘い吐息で性欲への急ハンドル。

意識がミンチになるほど高速かつ連続の方向転換だ。

「へっ変な声出すなよ…」

「ふぇ…?

そんなの、れてあ、の…?」

「それ!

そういうエロアニメみたいなやつ!」

「あー…んー…」

反応が鈍い。

まるで純血人間が寝ぼけてるみたいだ。

体を交換したばかりで慣れてないのか?

「まだるっこしいなぁ…よいせっと。

次は下から手ぇ突っ込んで直に来い」

慣れてないわけではないようだ。

何をしてるかさっぱりわからない手際で、己のブラジャーをササッと外してしまうくらいだから…。

「いやいやいやいや!

それは!

ちょっと…!」

「嫌なのか?」

「………………喜ばしいです」

「ふふっヘタレめ。

ならいいじゃねえか。

オレも嬉しいよ」

制服の裾を広げて誘うジグラ。

俺には止まる理由も止める力も無い。

言われるがままに左右の手を差し入れ、そのまま左右の乳を持ち上げた。

握り、こね回し、撫で、先端を弄ぶ。

努めて優しく。

「おっうっ♡はうぅ…はぁあ…」

ジグラの吐息が大きく激しくなっていく。

言うまでもなく俺もマラソン大会さながらに喘いでいる。

しかし乳童貞を捨てた俺はパンモロでからかわれていた頃とは違う存在だった。

興奮こそしているものの、自分が性的快感を得ているわけではないという冷めた大地から客観できていた。

「ははっ、おいおい興奮しすぎだろ〜…。

大丈夫かぁ〜?」

客観の証に、ジグラがからかおうとしても逆襲できる賢さが残っていた。

「お前こそ、めっちゃハアハア言ってるぞ」

「へっ?」

「…気づいてないのか?

顔赤いし、瞳ウルッウルだし…。

すっげえ気持ちよさそうだぞ」

「はっあっんっ、あれ…?

はひぃいいいっ!?

きゅ、急に乳首ぃ、いい…はぁうううぅんっ!!

やめぇ……♡」

「嫌なの?」

「…くそぉ…ヘタレのくせにぃ…。

もっとしてくれえ…」

もっとと言ってもらえて安心した。

永遠にこうしていたいと思ってたところだから。


キーンコーンカーンコーン…


あいにく学生の自由は数十分しか無い。

昼休み終了の鐘が鳴り響き、2人は習慣的にお開きの空気を醸し出した。

「はーっはーっ…」

「ふぅーっんふーっ…」

無論、そんな空気程度でスイッチを切り替えられるほど純血人間は便利じゃない。

続きをしたくてたまらなかった。

人間を模したMHもそれは同じのようだ。

「どうする?」

ヘタレらしくこちらから問う。

続けると決めて欲しい一心である。

「まあ授業は受けとくか」

「そ、そう…」

「お?

名残惜しそうだねえ〜キミぃ〜」

「くっ…当たり前だろ。

お前は気持ちよかったかもしれないけど、俺はずっと寸止めくらってるようなもんだったんだし…」

「そんなに焦らなくていいと思うぜ?」

「どうして?」

「今日の授業はあと1時間で終わる。

とすると、もうちょっとしたらオレん家で…密室で2人っきりになれるってわけだ。

裸にだってなれるし、思いっきり声出ちゃうような事もた〜っぷりできるぞ…?」

ジグラは耳元で囁いてから立ち上がると、外した時と同じ手際でブラを着け直す。

ジグラの家までの『もうちょっと』は人生で最も長い時間だった。


その日の行為の数々は到底描写しきれない。

エロアニメ3話分の脚本になってしまう。

ただ一言、天国だったとだけ言っておく。

「は〜〜〜〜っ♡

は〜〜〜〜っ♡」

「あー、だるい…」

体力の限界を迎えた俺は、ジグラを天国に置き去りにして一足先に現世を感じていた。

「はああ〜〜〜〜っ……♡

あ゛っふう…この体調整ミスってないか?

ぶっ壊れるかと思ったぜ…」

ややあって、ジグラも逝き先から降りてくる。

それを確認し、重要な疑問をぶつけた。

「本当に生で大丈夫だったか?」

「ああ、問題ない。

しっかり不受胎にできてるよ。

逆に聞くが、産まなくて大丈夫なのか?」

「なにが?」

「お前純血人間だろ?

オレはMHだけどさ、オレを手始めに色んな女孕ませるとか、純血の女探すとかしないと滅亡すんじゃね?」

確かに純血人間は希少種だ。

マシンが生殖を代替する以前は人間同士の交配が当たり前だった、という昔話を聞くたび不思議な気持ちになる。

なんでそんな馬鹿な真似をしていたんだろう?と。

その心境を探ろうと俺の子を抱くジグラを想像し…2秒で嫌気がさした。

「うわっやめやめ!

無いわー。

コスパ悪すぎんだろ…どう考えてもお前と2人でいたほうが幸せだわ」

「そうかー?

オレは子育て興味あるけどなー」

「駄目だ。

人間の子供に産まれたって惨めなだけだよ。

それを知っていて作るなんて無責任だ」

世界は実在の超神が管理している。

超弦コンピューター。

旧世代AIが開発したそれは稼働直後に宇宙の真理を解き明かし、人間のためエネルギー、環境、食料など無数の問題を即座に解決し、人間が快適に過ごせるよう天候や地殻を操作し、外宇宙の情報さえも計算で網羅し対処しているという。

その能力は文字通り人知の及ぶところではない。

事実、超弦コンピューターの開発した技術で人間に理解できたものは1%も無いそうだ。

そんな存在が人間にとことん寄り添い尊重するために動かしている端末が機械人間、MHである。

MHは人脳に想像し得る範疇を超えた完全以上の心技体を駆使し、社会のほぼ全てを担っている。

それ即ち…能力も精神も、人知を超えたレベルが社会の最低限になったという事だ。

当然ホモサピエンスの出る幕は皆無。

MHが生成する最強精子や究極卵子と交わってできた混血児でも落ちこぼれな事に変わりはない。

仮に人類史上の誰より優れた超天才が産まれたとて、どんな芸術や発明を生み出したとて、どれほど強く複雑な愛憎を育んだとて…そいつは何も考えてないも同然なのだ。

宇宙と比べれば地球も砂粒と大差ないように…。

もう人間にできるのは愛される事だけだ。

「子供にはこんな気持ちを味わわせたくない。

お前みたいな友達相手でもなきゃ怖くてセックスできんよ」

「本当は?」

「めんどい」

「そんなこったろーと思った」

「そもそも純血の女なんて性格悪いブスしかいないし。

むこうだって俺みたいな性格悪いブサイクよりMHのほうがいいに決まってる」

「このヘタレ野郎め…あーあ、お前のせいで純血人滅亡だー。

地球はMHの星になっちゃうんだー」

「とっくになってるだろ。

いいんだよ別に。

ちゃんとAIが俺以外の作りたい誰かに作らせてくれてるよ。

滅ぶにしても俺が死んだ後だしな。

…ああ〜くそ、煽られたらまたやりたくなってきた。

いいか?」

「うん…いいよ」

さあ、思う存分楽しもう。

みんなそうしてきたんだから。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

男友達だと思ってたら爆乳美少女だったので、思う存分楽しむことにしました。 不労りング @hatarakan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画