私は今日、数年ぶりのセックスをする。
るる
第1話
「遅くなってごめんね。初めまして」
俯いた私の顔を覗き込んできたのは、かわいい笑顔の悪魔。
「いえ、そんなに待ってないです。初めまして。」
震える声で答えると彼は聞いているのか聞こえていないのか、なんのためらいもなく私の手を取り歩き始めた。行き交う人の声や足音だけが、やけにうるさく感じた。
「こっちだよね?東京ってすごい人が多いねー。」
私は答えずについて行く。私と手を繋ぐ、初めましての人。手が大きい。カサカサしていて、ゴツゴツしている。早足で向かうのはラブホテル。
ふと男の顔を見たくなった。でも振り向かせるために名前を呼ぶこともできない。名前を知らないのだ。
そんな私に気づいたのか「楽しみにしてたよ。」男はそう振り向いた。嗅いだことのない香水の匂いがした。
私は何も言えない。会うまではエロい話をしていたのに。私は今日、数年ぶりのセックスをする。
このヘラヘラした年下男にセカンドバージンを捧げるためにここまで来たのだ。もう戻れない。手を繋いだ男女が駅を出た。
私は今日、数年ぶりのセックスをする。 るる @after2200
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