傘の骨に絡まる星屑
しとえ
傘の骨に絡まる星屑
突然雨が降り出したので、濡れていた女の子にビニール傘を貸した。
「ありがとう」
お辞儀を一つするとその子は街あかりの下、走って行った。
雨の夜のビニール傘はクラゲに似て、雨粒に街の明かりを反射してきらめいて見えた。
ふと水中の中にいるような錯覚に陥る。
暗がりの空の下、あの子の傘もまたクラゲになってこの町で輝いているのだろうか。
傘をあげてしまったので、私は数メートル先のコンビニに駆け込んだ。
店の入り口の近くに売ってあるビニール傘。
1本買ってコンビニを出た。
ビニール傘ごしの風景はぼやけて滲んで見える。
街の灯りが雨粒に写りまるで星屑みたいだ。
空の上にいるような軽やかな気分になった。
私は雨の日に星空を片手に町を歩く。
傘の骨に絡まる星屑 しとえ @sitoe
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます