傘の骨に絡まる星屑

しとえ

傘の骨に絡まる星屑

突然雨が降り出したので、濡れていた女の子にビニール傘を貸した。

「ありがとう」

お辞儀を一つするとその子は街あかりの下、走って行った。

雨の夜のビニール傘はクラゲに似て、雨粒に街の明かりを反射してきらめいて見えた。

ふと水中の中にいるような錯覚に陥る。

暗がりの空の下、あの子の傘もまたクラゲになってこの町で輝いているのだろうか。


傘をあげてしまったので、私は数メートル先のコンビニに駆け込んだ。

店の入り口の近くに売ってあるビニール傘。

1本買ってコンビニを出た。

ビニール傘ごしの風景はぼやけて滲んで見える。

街の灯りが雨粒に写りまるで星屑みたいだ。

空の上にいるような軽やかな気分になった。


私は雨の日に星空を片手に町を歩く。


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傘の骨に絡まる星屑 しとえ @sitoe

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