激戦、本屋の店員!

狐囃もやし -こばやしもやし-

激戦、本屋の店員!

「お客様、どうぞ〜」


「あ、はい!」


 ここに佇むは、一人の学生。名は狐囃もやし。


 彼は今日、本を買いに来ていた。それは最近文庫で発売された、某カクヨムコンテスト10の三冠達成の超名作だ。


 レジで店員に本を渡す。


 スキャンにかけられる本。無機質な電子音に、僕は無意識に固唾を飲み込む。


「カバーはつけますか?」


 当然の問いかけに、即答の僕。「あ、はいお願いします」。


 慣れた手つきで本をカバーに包む店員。なるほど大学生のバイトかと思ったが少々低く見積り過ぎたようだ。貴様、歴戦の猛者だな?


「お会計836円です」


「あ、はい」


 リュックに手を突っ込む。財布を取り出そうとした。が!


 ここで、もやしに戦慄が走る!


(え、なんか爆散してるんだが!?)


 瞬間、空間が凍てついた!


 ドゥルルrrrrrrrrrrr……!


 #店員

 HP138

 特性『清算』


 #狐囃もやし

 HP59

 特性『弱腰』


 もやしもとい僕はこれからの算段を考えていた。


(……とりあえず金を取り出すことに始まらない!)


 深淵リュックの中から小銭を取り出す。


 が、深淵の闇に沈みし銅貨と銀貨が見分けられない!


(ど、どうする!?)


▶︎たたかう(ぽちっ)

 アイテム

 いれかえ

 にげる


 ののしる

▶︎あやまる

 いいわけ

 ふいうち


「す、すみません少し待ってもらってもよろしいですか……?」

「あ、はい。どうぞ」


 よっし、☆俺☆の☆タ☆ー☆ン☆


 小銭としばらく格闘する。


(836円!百円硬貨8枚十円3枚五円硬貨1枚一円硬貨1枚!!!)


 しかし、なかなか取り出せない!


(く、こういう時に限って僕の邪神と封印されし神手ゴッドハンドが反応しない!何事だ!?)


 とりあえず手掴みで取り出す。


 150円。


 一旦トレーにおこう。


 次、61円。


 トレーに。


 次、58円。


 何でこういう時に限って百円が出てこない!?


 紙幣がないか探してみる。


 が、虚しくも紙切れ一つすらない。


 その時、店員の不機嫌アピールが響き渡る。


 机をトントン。


(あああああ!やっちまった!くそう!何でだ!)


 デュクシ!


 もやしのHPが27になった!


(もうこうなったら適当に!)


 僕はもう適当にリュックの中にある小銭全てを取り出した。


 店員は少し戸惑いながらも、精算機に放り込んで計算し始める。


「ちょ、ちょっと待ってくださいね?」


「す、すみません。財布の中身が弾け飛んで……」


「大丈夫ですよ……そんな日もありますよね」


「あ、ありがとうございます本当にすみません」


(頼む、足りてくれ!!!)


「足りました。大丈夫ですよ!お買い上げありがとうございます」


「……!ありがとうございます!」


 その一言を聞くためにどれだけ願ったことか!聖人!ありがとう!


 こうしてもやしと店員の激しい攻防戦(はえ?)は幕を閉じたのであった。


 ひたいの汗を拭い、戦場から帰還した兵士の如く、帰るために駅に向かったもやしだった。

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