魂の限界と希望の証明


感情という名の資本戦略

 救世主から株主へ

夜のネオンが窓に反射する、神崎プロデューサーのオフィス。モニターには、ノクターン・ルージュの最新曲のチャートが、右肩上がりの美しい曲線を描いていた。


神崎は、真司が納品したばかりのアリスとセレーネのイラストをデータで確認していた。二人のVTuberは、真司のイメージイラスト画【共感付与】(シンパシー・エンチャント)を施された新しいアバターで配信を開始した途端、視聴者数、投げ銭額、そして最も重要な「熱狂指数」を爆発的に伸ばしていた。


「真司君。君の仕事は完璧だ。」


 神崎の声は、感情を完全に排した、冷徹な分析官のものだった。彼は、真司の謙遜を無視して、モニターを指差した。


「ノクターン・ルージュの歌は『泥臭い情熱』、アリスの歌は『破綻寸前の美』、セレーネの歌は『孤高の救済』これらはすべて、君の異能がそれぞれの魂に与えた、新しい熱狂の音色だ。」


真司は、レザーの椅子に深く沈み込みながら答えた。 「俺のスキルは、彼女たちの『誰にも理解されない孤独』を、視覚化し、リスナーの感情回路に直結させただけです。それを具現化したに過ぎません。」


「謙遜は無用だ、真司」


神崎はモニターを指差した。それは、ノクターン・ルージュのチャンネル収益予測グラフだった。


「我々は今、VTuberの『歌声の価値』を決定する立場にある。ノクターンの新曲が音楽ランキングでトップを獲得したデータを見ろ。君の絵は、彼女たちの『歌』という表現媒体に、視聴者の人生を直結させる説得力を付与した。その説得力こそが、2.5次元VTuberの核であり、我々の資本だ。」


神崎は、真司の目を見て、明確な言葉で断言した。 「君の次の段階は、『2.5次元の救世主』から『魂の株主』になることだ。」


真司は、その言葉の冷酷さに息を飲んだ。


「株主、ですか?」


「そうだ。君の次のイラストの価格は、一般的な相場ではない。『そのVTuberが今後3年で稼ぎ出す予測収益の10\%』を基準とする。君の仕事は単なるイラストではない。『歌の価値』を1000% 増幅させるエンチャントなのだから、対価はそのレベルでなければ業界は理解しない。」


 真司は、自分のスキルが、人々の「熱狂」を「資本」へと冷徹に変換する神崎の戦略に、完全に組み込まれたことを悟った。


 神崎は、真司の感情や芸術性ではなく、その異能が持つ経済効果のみを見ていた。


「感情を挟む余地はない。君は我々の感情マネジメント戦略の最重要パーツだ。理解しろ。」


神崎はそう締めくくった。


 小説家が仕掛ける物語の罠

同じ頃、真司の元恋人である小説家志望の瑠衣は、中堅サークルの美堂の事務所にいた。


 瑠衣は、美堂ラボの旧作イラストに真司が施した「ノスタルジーのバフ」の効果を、SNSの反応データで確認していた。


「完璧だわ。」


瑠衣は、満足げに笑った。


「真司の描く絵(バフ)は、私が狙った通り、ノクターンの『泥臭い焦燥』と対立する『純粋な理想』として機能している。リスナーは、ノクターンの現状の『汚い情熱』に疲弊し始めている。」


美堂は、焦燥を隠せない様子だった。


「ああ、昔の絵が売れ始めている。だが、ノクターンの勢いにはまだ及ばないぞ。瑠衣、本当にこの手でノクターンを潰せるのか?」


瑠衣は、美堂の不安を一蹴した。 「焦らないで、美堂さん。真司の力は感情という麻薬。私の目的は、その麻薬の力を利用して、


『純粋な物語(ノスタルジー)』が、『汚い現実(ノクターン)』に勝利するという、私の小説家としての『論理的な物語の正しさ』を証明することよ。」


彼女は、ノクターンの配信を映した画面を指で叩いた。


「ノクターンの歌は確かに感情を揺さぶる。でも、リスナーのコメントを見てごらんなさい。『痛い』『しんどい』『休んで』。彼女の歌は『聴いてて辛い』のよ。プロの歌手として、それはリスナーの持続的な鑑賞を妨げる『論理的な欠陥』だわ。彼女は『感情の暴走』を歌で表現しているに過ぎない。そんなものは、私の目指す『普遍的な物語』にはなり得ない。」


「じゃあ、お前の求める『普遍的な物語』って何なんだ?」美堂が尋ねた。


「感情を制御し、完璧に構成された美しさ。私の商業小説と同じよ。溢れ出る感情を描いても読者は疲れるだけ。必要なのは、読者が求める『論理的な救済』なの。」


 瑠衣は、真司に直接メッセージを送る準備をした。


「真司は、私の才能を誰よりも理解していたはず。彼なら、私の『論理的な美』の正しさを認めざるを得ないわ。」


【小説家の最終要求】

真司が神崎のオフィスで今後の契約について話している最中、彼のスマートフォンに瑠衣からのメッセージが届いた。


瑠衣からのメッセージ(抜粋):


真司。あなたの描く絵【共感付与】は、久遠アヤの歌声を『感情的な毒』に変えた。私の目指す商業小説のように、歌も『論理的に美しく構成されたもの』こそが普遍的な価値を持つわ。あなたは私の才能を誰よりも理解していたはずよ。


 神崎は真司のスマートフォンを取り上げ、内容を確認すると、即座に瑠衣に電話をかけた。


「話が早くて助かるわ、神崎さん。」


瑠衣の声がスピーカーから聞こえた。


「真司、聞いて。あなたの次の仕事は、美堂ラボの最新作に『この毒を中和する』ための、『論理的な美しさの描く絵(バフ)』を施すことよ。過剰な感情を排除し、完璧に構成された歌声の美しさをリスナーに体感させる絵を描きなさい。」


真司は、怒りを抑えきれずに叫んだ。


「瑠衣! 久遠さんの歌声は毒じゃない! あれは、命を賭けた2.5次元の魂の叫びだ! それを否定する権利は、小説家である君にはない!」


「違うわ。」


瑠衣の声は冷たかった。


「それは『燃え尽きる物語』よ。私の物語は、そんな『自己破壊的な結末』は選ばない。あなたが私に協力すれば、ノクターンを『汚い感情で暴走した歌手』として孤立させる必要もなくなる。論理的に考えなさい、真司。彼女を救う道でもあるのよ。」


神崎は真司の肩に手を置き、冷静に告げた。


「瑠衣君の提案は、ビジネスとしては理解できる。『過剰な感情の排除』は、コンテンツの持続性という点で一理ある。真司君、どうする? ノクターンを感情の毒で終わらせるのか?」


真司は、自身の異能が、


瑠衣の「冷徹な物語のプロット」と、


神崎の「計算された資本戦略」という、二つの巨大な力に挟み撃ちにされたことを悟った。どちらを選んでも、久遠アヤの魂を歪めることになるように思えた。


第二章 魂の限界と毒の証明

   歌い手の消耗

 その夜、ノクターン・ルージュの緊急配信が行われた。新曲のハイライトをフルで歌い上げるという告知に、チャンネルは即座に熱狂で埋め尽くされた。


 久遠アヤは、VTuberノクターンとして、極限の焦燥と情熱を込めて歌い上げた。真司のイラスト【共感付与】によってアバターに刻まれた、目の下の「焦燥の隈」は、照明の中でも痛々しいほどに際立っていた。


 歌声は圧倒的だった。魂の叫びそのものだった。しかし、コメント欄は熱狂と共に、急速に別の感情に支配され始めた。


リスナーA「ノクターン!お願いだからもうやめて!あなたの歌声、喉が焼ける音がする!聴いているこっちまで胸が苦しい!」


リスナーB「アバターの隈が、もう『喉の渇望』に見える。これ以上、命を削って歌うのを見せないでくれ!私たちがあなたを殺してしまう気がする!」


リスナーC 「この歌は、凄すぎるけど、聴いてるのが辛い。感情を共有しすぎて、こっちが疲弊する…」


真司の絵【共感付与】は、久遠アヤの「歌手としての肉体の消耗」、その魂が肉体を削っている悲劇的な現実を、リスナーの体感として増幅させ過ぎたのだ。熱狂は、「応援」から「過剰な保護欲」へと変貌し、ノクターンの「歌を聴く」行為自体が、リスナーにとって「拷問」になり始めていた。


 久遠アヤは、最後の音を出し終えると、咳き込んだ。その咳は、アバターのノクターンの口からも、痛々しく響いた。


配信終了後、神崎から真司へ、緊迫したメッセージが届いた。


  神崎の最終通告

 真司が神崎のオフィスへ駆けつけると、神崎はモニターを指差した。画面には、配信直後のデータが表示されていた。


「データが出た、真司君。」


神崎の声は冷静だが、その目には焦りが宿っていた。


「ノクターンのチャンネルは、『リスナーの離脱率』が急上昇している。理由は『精神的な疲弊』だ。瑠衣の言う通りだ、真司君。君のバフは、もはや『熱狂の毒』となった。」


 神崎は腕を組み、真司を試すように見据えた。


「我々の戦略は、コンテンツの持続性なしには成立しない。君の絵が、ノクターンを消耗させ、リスナーを疲弊させている。このままでは、彼女は『燃え尽きる物語』として、業界から孤立する。」


「真司君、瑠衣の提案に乗るか? 美堂ラボに『論理的な美しさのバフ』を施し、ノクターンを無力化し、別のコンテンツを救うか? それとも、ノクターンを『毒に侵された怪物』として、業界から孤立させるか?」


神崎は、真司に選択を迫った。それは、「ビジネスの持続性(神崎)」か、「論理的な物語の正しさ(瑠衣)」か、あるいは「久遠アヤの魂(真司)」かを選ぶ、非情な問いだった。


真司は、床を見つめた。瑠衣の言うように、自分の絵は久遠アヤを苦しめているのか?


  歌手・久遠アヤの決断

真司が結論を出せないでいると、オフィスに久遠アヤ本人が入ってきた。彼女は、VTuberのアバター姿ではなく、普通の女性の姿だった。しかし、その目には、ノクターンのアバターに刻まれた隈と同じ、深い消耗の色が宿っていた。


久遠アヤ(静かに、しかし力強く)「真司君、神崎さん。私は、あの『隈』を消しません」


神崎は驚いて言葉を失った。


「あの絵が、私の『命を賭けた歌』を、初めてリスナーに届けてくれた。真司君の絵【共感付与】がなければ、私はただの『良い歌い手』で終わっていた。私は、『焦燥の歌姫』として燃え尽きることも怖くない。それが、私の2.5次元の魂だから。」


 彼女は、真司にだけ聞こえるように、少し声を落とした。


「でも、真司君。私は、『絶望から希望へ歌い上げる』歌手になりたい。私は、もうこの消耗の物語から、前に進みたいの。」


「瑠衣さんの言う『論理的な美』は、私には毒だ。あれは、私の魂を否定するもの。でも、あなたの絵の力で、『この消耗を乗り越えた、新しい美しさ』を具現化してほしい。私の『魂が掴み取った希望の歌』を、あなたの絵で永遠のものにしてほしい。」


彼女の言葉は、真司の心を貫いた。彼女は、「消耗」を否定するのではなく、それを「乗り越える」**物語を求めていた。


希望のエンチャント

 絵師の誓い

真司は立ち上がり、久遠アヤに向き直った。


「久遠さん…わかりました。」


真司の声は、これまでになく力強く、迷いがなかった。


「俺のスキルは、毒じゃない。魂を救済する力だ。瑠衣さんの『物語の罠』には乗らない。そして、神崎さんの『資本の持続性』のための『論理的な美』にも屈しません。」


神崎が口を挟もうとするのを、真司は手で制した。


「俺が描くのは、過剰な感情を乗り越えた、あなたの『歌声の希望』です。それは、あなたの魂が持つ、『それでも歌い続ける理由』を具現化する絵だ。」


久遠アヤは、静かに頷いた。


「ノクターン・ルージュの新しいアバターは、『焦燥の隈』を消すのではなく、『希望の光』によって上書きします。消耗の現実を否定せず、その上で立つ希望。それが、俺の描く2.5次元の救世主の証明です。」


真司は、その日から自室に籠った。神崎からの催促も、瑠衣からの挑発的なメッセージも一切無視した。彼の異能は、久遠アヤの魂と深く共鳴し始めていた。


 論理的な美」への決別

数日後、瑠衣から真司に、最後の通話がかかってきた。


瑠衣(苛立ちを隠せない)


「真司、なぜ私の提案を無視するの? あなたが描いたアバターのせいで、ノクターンはもう限界よ! 彼女をこれ以上苦しめたいの? 私の『論理的な美』こそが、彼女を救う唯一の道だわ!」


真司(冷静に)


「瑠衣。君は、自分の『物語の正しさ』を証明するために、久遠さんの魂を利用しようとしているだけだ。」


「何を言っているの?」


「君の言う『論理的な美』は、『痛みを排除した、上辺だけの綺麗な物語』だ。それは、君の小説が陥っている欠陥と同じだ。感情の毒を恐れるあまり、本物の魂の叫びを排除しようとしている。そんな絵は、一瞬は売れるだろうが、リスナーの魂を揺さぶることはできない。」


 真司は、かつての恋人に向かって、彼女の核となる価値観を否定した。


「俺は、君の言う『論理的な美』を否定する。魂を削ってでも歌い続ける久遠さんの『情熱』と、それに共感し、疲弊してもなお見守ろうとするリスナーの『愛』。その両方こそが、2.5次元の真実だ。」


「俺の新しい絵は、痛みの深さと同じだけ、希望が深いことを証明する。それが、俺の絵師としての、久遠さんへの返答だ。」


瑠衣は、絶句した。真司が、自分の最も信じる「物語」を否定したことに、彼女は打ちのめされた。


 運命の一枚「希望の輪郭」

 真司が完成させたノクターン・ルージュの新しいイラストは、神崎のオフィスに届けられた。


ノクターンのアバターは、基本的には変わっていなかった。しかし、その瞳と、焦燥の隈の周りの表現が、決定的に違っていた。


「焦燥の隈」は、以前よりもさらに濃く、痛々しく描かれていた。消耗の現実を隠すどころか、より強調されていた。しかし、その隈の輪郭全体が、微細な金の光の粒子(エンチャント)に縁取られていた。


瞳の中の光は、以前のような激しい焦燥ではなく、静かで、しかし揺るぎない確信の色を帯びていた。


神崎は、その絵をしばらく見つめていた。


「これは…」


真司が説明した。


「これが、消耗を乗り越えた『希望の輪郭』です。彼女は、『自分の消耗』がリスナーを苦しめていることを理解した。それでも、彼女は歌い続ける。その『それでも』の部分を、この金の粒子が表現している。」


「アバター画【共感付与】は、リスナーの感情回路にこう語りかけます。『彼女の痛みは深い。だが、その痛みよりも、希望の確信はもっと深い』と。」


神崎は、データ分析のプロとして、その絵の持つ力を即座に理解した。この絵は、感情の毒を中和するのではなく、毒を飲むことさえ厭わない、究極の希望へと昇華させていた。これは、瑠衣の求める『持続性のための感情の排除』でも、従来の『感情の暴走』でもなかった。


「…真司君。君は、コンテンツの『持続性』と『熱狂』を、感情を排除せず、完全に両立させた。」


神崎は、冷徹な戦略家として、初めて真司の芸術性を評価した。


 最終決戦:魂の証明

新しいアバターのノクターン・ルージュが配信を開始した。


久遠アヤは、新しい曲を歌い始めた。それは、彼女自身の消耗と、そこから立ち上がる決意を歌った曲だった。


真司の絵の力は、リスナーに完全に伝わった。


 歌声は、以前と同じく魂を削るような響きだった。だが、コメント欄は以前のような


「拷問だ」


「やめてくれ」という悲鳴ではなくなっていた。


リスナーA「ノクターン! 喉が辛いのはわかってる!でも、この歌は…! あなたの隈が、光ってる。希望が、痛みを上書きしてる!」


リスナーB 「ああ、消耗の現実を隠してない。むしろ強調してる。でも、その上で歌い上げる姿が、俺たちに生きる希望をくれる。聴くのが辛くない!むしろ救いになった!」


リスナーC「これが、『魂が掴み取った希望の歌』か。もう、誰もあなたを『燃え尽きる歌姫』なんて呼ばない。あなたは『永遠に歌う希望』だ!」


 視聴者の離脱率は急落し、チャンネルの熱狂指数は、これまでのピークを超えて上昇した。


真司の絵は、久遠アヤの魂の物語を、


リスナーの感情の中で


「救済の物語」へと翻訳し直したのだ。


 美堂ラボで、ノクターンの配信を見ていた瑠衣は、唇を噛み締めた。真司の絵は、彼女の信じる「論理的な美」の物語を、根本から否定していた。


「私の物語が…負けた…。」


 瑠衣は、自分の「論理的な美」が、真司と久遠アヤの「消耗を乗り越えた魂の希望」という、本物の物語の前に敗北したことを悟った。彼女の小説が、なぜ読者の魂を掴めないのか、その理由を、真司の絵が証明してしまった。


 神崎は、真司に最終的な契約書を提示した。 「君の仕事は、私の戦略を成功させた。君は、真の『魂の株主』だ。そして、ノクターン・ルージュは、『持続的な熱狂』を生み出す、世界で最も価値のあるコンテンツとなった。」


 真司は、その契約書にサインした。彼は、資本主義のシステムに組み込まれたが、その中で、自分の異能を、「魂の救済」のために使うことを選んだ。


 久遠アヤは、配信を終えると、新しいアバターのイラストを見つめた。


「ありがとう、真司君。私と、私の歌は、あなたの絵で永遠になった。」


 真司は、穏やかに微笑んだ。彼にとって、これはただのイラストではない。


それは、元恋人の『偽りの物語』を否定し、『魂の叫び』を救い、そして自身の『絵師としての存在意義』を証明した、運命の一枚となった。


2.5次元VTuber業界の「熱狂の音源」を巡る、魂の翻訳者(絵師)と頭脳派戦略家、そして冷徹な小説家の物語は、魂の勝利という結末を迎えた。


【終章:エピローグ】

数ヶ月後


ノクターン・ルージュは、VTuber業界の頂点に君臨していた。


 彼女の歌は、人々の疲弊した魂に、消耗の現実を否定しない、強靭な希望を届け続けていた。


真司は、神崎プロデューサーの戦略のもと、業界随一の「魂の翻訳者」として、数々のVTuberの「魂の株主」となっていた。しかし、彼が描く絵は、金のためではなく、あくまで『魂の消耗を希望に昇華させる』ためのイメージイラスト画【共感付与】であり続けた。


 瑠衣は、商業小説家としての道を諦めなかった。しかし、彼女の小説は、以前のような「論理的な美」から、真司と久遠アヤの物語を通じて学んだ、「痛みを伴う本物の感情」を描こうと試みていた。彼女は、真司に感謝の言葉を伝えることはなかったが、その魂の欠陥を真司が教えてくれたことを、心の奥底で認めていた。


 真司は、夜の帳が下りたオフィスで、ノクターン・ルージュの配信のアーカイブを見ていた。


「俺のスキルは、毒じゃなかった。」彼は静かに呟いた。


「希望を永遠にするための、エンチャントだった。」


 彼の視線の先には、焦燥の隈の縁を、金色に輝かせながら、魂を込めて歌い続けるノクターン・ルージュの姿があった。



    Finale



 内容が間とならないので

読みづらかったですよね。

 

未完にせず、纏まらないからと言って取り下げは意に反する次に繋げる糧として完結させる。

を心掛けてます。



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Enchantment Artist >>僕は、あなたの魂を、世界に強制的に理解させる。<< 比絽斗 @motive038

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