ポッキーゲームっ!

上宮彩乃

ポッキーゲームっ!

「桜子さん、俺ら付き合ったんだし、その、ポッキーゲームってもんをやってみようよ」


桜子さんとは最近付き合い始めたクラスメイトの女子だ。なんとなく、呼び捨ても、「ちゃん」というのも似合わない、シゴデキオーラがあるから、「さん」を着けてしまっている。


「ポッキーゲームって何?」


桜子さんはキョトンとする。かわいいけど、なんだこのツンデレオーラ。実際そんなツンデレではないのだが。


「ポッキーゲームは…その、1本のポッキーを二人で食べるゲームです」


「割るってことか? シェアってやつ?」


「いや、その、反対側と反対側から同時に食べるっていう」


「こういうことか?」


桜子さんは手でポッキーの端と端をを両方の手で持った。


「そういうことです!」


「なるほどー」


桜子さんはさっき持ったポッキーを一本食べた。ポッキーゲームする前に食べちゃうんだ。まあ、いいけど。


「どっちがチョコのとこいく?」


「は?」


「だから、ポッキーって言ったらチョコかかってるじゃない。両端から食べるとしたらどっちかがチョコを食べれないってことになるよ」


そんなこと考えたことなかった。俺はただ桜子さんとチューをしたいだけの、うぶな男なのだ。


「もし、亮介くんがチョコ食べたいんだったら私いいよ。亮介くん食べて」


亮介とは俺の名である。そんな俺にもチョコへのこだわりはない。


「いやいや、桜子さんが食べてください。俺は全然大丈夫だから」


「でも、申し訳なさが残ってしまう。閃いた! トッポにするか!」


あぁ、確かにチョコは全部入ってるけど。


「いや、今トッポないでしょ。ポッキーにしましょ」


「確かにそうだな」


そう言うと桜子さんはポッキーを咥えた。

俺もポッキーを咥えた。


そして、食べ続けたら唇が重なった。


「そういうことか」


桜子さんは納得したように言う。


「そういうことです。っていうか、桜子って呼んでもいい?」


「全然良いだろ。なんで桜子さんなんだと思ってたし。一応私も彼女だからな」

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ポッキーゲームっ! 上宮彩乃 @uemiya-ayano

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