僕の考えたこと
山口甘利
僕の考えたこと
この思春期はこんなにもイライラとするのか。
家族のこと、友達とのこと、恋愛だってそう。何もかもが上手くいかない。
大阪の私立の中高一貫校に通っている、僕──悠はイライラが止まらない。
僕は母親が大嫌いだ。正直、この世からいなくなったって良いと思う。
今や、生きていく上で必要なスマホに制限をかけまくる。これはよくある不満だと思う。
でも、使える時間なんてたった5分。うちはうち、よそはよそ、そう言うけど、同じクラスの賢い子なんて、平日一日5時間も使っているらしい。
さすがにそれは使いすぎかも知れないけど、別にテスト期間中は触りすぎないことぐらい自分で止めることができる。
今は連絡するのもスマホ、どこかに行く時にもスマホ、流行りに乗る方法だってスマホだ。
たった5分で僕には何ができると言うのだろうか。
朝、溜まっているLINEを返して、Instagramを見ようとした所で制限にかかる。毎朝憂鬱でしかない。
学校から帰ってきて、友達にLINEしたいと言っても、手伝いをすれば延長、しなければスマホ没収。そんな脅しに僕は聞くしかない。
かと言って、スマホが少ししか使えないからと言って、ゲームがたくさん出来る訳でもない。
勉強を一時間すれば30分出来るというルールだ。
テレビを観るには、ゲームを我慢することしかできない。
どこかの母親が見れば、素晴らしいと褒めるかも知れない。確かに素晴らしいかもしれないが、どこまで流行りに乗せなければ気が済むのかと思う。
スマホを触るのも、学校のiPadを触るのも一階。お菓子を食べるのも一階。
友達と遊びに行けば、愚痴愚痴と言われる。自分が中学生の時は、あまり遊んでいなかったとか、貧乏だったとか、金を使いすぎだとか。
確かに昔がどんなだったのかは、全く知らないけど、別に映画くらい行ったって良いはず。どうして楽しかった?とか、そう言う声をかけないんだろう。
クラスメイトの子みたいに、家族と何でも話せるような家族に産まれたかった。
何をしても、何を言っても、否定をし軽蔑し、ルールを作る。
父親はと言うと、母親の言う通りにしている。
祖父母には僕の悪口を言って嫌わせる。
妹2人は、僕がスマホを2階で使っているのを見つけると、即報告し、スマホを没収される。
iPadがあるから良いと思っていると、Wi-Fiすら切ってしまう。
最初の方は我慢出来ていたけど、もう限界。
昨日は土曜日だった。今週は土曜日も学校があり、手袋にマフラーをして登校し、お昼に帰宅した。
その日、帰ってきた時はまだ関係が普通だった。
スマホは朝に使い終わったので、iPadに保存していた曲を聴いていると、近所の上田と言う家の母親がお土産を買ってきてくれた話が始まった。
上田の母親と、うちの母親は仲が良く、一昨日も近くの居酒屋に行っていた。
僕は上田の母親がなぜか嫌いだった。その人は、安ければ物を買いに買い、息子がLiveに行きたいと言えば、それが北海道だろうが、沖縄だろうがどこだって行く。
息子が大好きすぎるところなのか、お金使いが荒い所なのか、母親とは違う所に嫉妬しているのか、どこが嫌いなのか分からないけど、とにかく嫌いだった。
お土産は小3の息子が、今大人気のアーティストのLiveに当たり、それが福岡だったらしく、福岡からのお土産だった。確か2週間前は、そのアーティストの北海道が当たり、北海道に行っていたはずだ。
確かに人気すぎるから2つも当たったのはすごいが、そこまでするほどなのかと思う。
自分も好きなアイドルグループがいるが、Liveの抽選すらさせてくれない。
高校生になって、自分で稼いでからと。
話を戻し、お土産の話を聞いているとうっかりこの思っていることを話してしまった。
確かにこれは、言い過ぎかもしれないけど思っていることだった。
すると、母親はこう言った、
「お前は顔も不細工やし、性格も悪いし、気持ちも悪いんやから、もうご飯食べんで良い。はよ2階行って降りてこやんといて。」
それを聞いて、イラッとしてしまった。正直、最近学校では上手くいかないことが続いている。僕に何かあるのかも考えずに、ご飯を食べるなと言われ、父親に無理矢理2階へと上げられようとし、それに何とか対抗していた。
確かに僕のことを考えろという、この考えは上から目線かも知れない。でもそう思った。だから、こう言い返してしまった。
「人のこと言えやん顔してるくせに、偉そうに言うなよ。くそババア死ねよ。」
不細工なりに頑張っているのを侮辱されたような気がしたから。僕は髪の癖が酷く、ヘアアイロンを買い、毎朝頑張っていたのに。でもこの最後の一文がダメだった。
母親はブチギレ、2階へと追いやられた。
2階の布団に潜り、僕は最近の出来事を思い返した。
中学校に上がり、中一で同じクラス、同じ委員会になって仲良くなった青葉と言う女子がいた。
その子とは、中2でクラスが変わっても仲良かった。
そして、中3に上がるとまた同じクラスになった。それまで不満はなかったかと言えばそんなことはない。
中2の冬、中1の頃に僕と喧嘩した子が青葉にこう聞いた。
「悠に俺って嫌われてる?」と。
「青葉は嫌われてないと思うよ。」と答えたらしい。
その話を青葉から聞き、これはチャンスかも知れないと思った。
だって、推しが共通だったから、もう一度仲良くなりたいと思ってた。
それでどうすれば良いかを考え、青葉からその子に嫌われてないと言ってたと伝えてもらおうと考えた。でも、青葉は協力なんか全くしてくれなかった。
がんばってLINEしてみたら?、そう言うだけ。確かにそれが一番だけど、そんなことはできなかった。
その子は勇気を出して、青葉に聞いたはず。僕だって青葉にその子とのことを色々話すのは、勇気が必要だったし、協力のことをお願いした時だって勇気を出した。でも、返事は頑張れ!、だけ。どうして友達なのに協力ぐらいしてくれたって良いのに。
好きな人ができた時もそうだった。好きになったのは青葉とよく話している女子だった。その子の好きな人を聞いてほしいと頼んでも、自分で聞いてと言われておしまい。
結局は自分がその人にどう思われるかとかばっかり考えて、僕の協力なんて一切してくれなかった。
一週間前、青葉も仲が良く、僕もたまに話す、隣のクラスの女子がいる。その子を誘って、近くのイルミネーションはどうかと言う話になり、誘うことにした。
授業が終わり、青葉の席に行った。
「隣の教室行こっ!」
「ちょっとこれ終わらしたいからちょっと待ってて!」
そう言われたので、僕は席で次の授業の用意をしながら待っているといつの間にか教室から青葉は消えていた。
後から、他の人に聞くと、どうやら数学の提出をしに職員室に行っていたらしく、そこで偶然青葉の仲の良いクラスメイトに出会い、その流れで一緒にトイレに行き、ずっと話をしていたらしい。小さな約束だけど、何も言わず他の子を優先するんだ、と思い未だ青葉とは話していない。
今までも小さく約束を守らないことが多く、正直うんざりしていた。小テストを受けようと約束しても、違う子と受けに行っていたり、この日空けといてと言った日に、違う人と予定を入れたり。
後一つ、上手く行っていないのは“恋愛”だ。
昔から好きな人がすぐ出来る性格だった。すぐに乗り換えたりする訳ではないけど。
でも、中学校に入ってから、一度も成功したことがない。
良い感じになってから、喧嘩してしまったり、気まずくなったり、他に好きな人がいたり。
一度他校の生徒に一目惚れしてしまい、先輩を通してなんとか仲良くなったが、会った時の性格に蛙化したり。実らない恋ばかりだ。
今も片想いの子がいる。名前は凪沙ちゃん。
とにかくタイプだった。目が大きくて、声が可愛くて、よく笑う子で。
また一目惚れだった。まだ数回喋ったことがあるくらい。
でもその子には彼氏がいるらしい。どこの学校だなんて知らないし、本当か分からないけど、凪沙ちゃんと結構仲が良い子に聞いたから信憑性は高い。
だから今はどうしようもない。お互いに愛し合えるそんな人がほしい。
でもこの全てが上手くいかないのは自分の性格なんだろう。
だから僕は死にたい、とさえ思ったこともあるし、殺したい、と思ったこともある。
でもそんな時にある曲に出会った。好きなアイドルグループの曲だった。
その曲は、今日の君も頑張っている、だから君は自分を大事にしよう、と歌っていた。
いつもと違って、歌声やダンスを見るんじゃなくて、僕は歌詞を一生懸命に読んでいた。
そして僕は思った。まず何が悪いのか、相手の悪かった所はどこか。
母親は何を考えて行動しているのか。どうして青葉は協力してくれないのか。もしかしたら僕が何かしたかもしれない。凪沙ちゃんだって確実に彼氏がいるかなんて分からない。
僕は色々と思い返して、なんとかしなければと思う。だから自分を一番に大事にして、相手も大事にする。これが鉄則だと思った。
僕の考えたこと 山口甘利 @amariyamaguchi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます