お客様、当店へ来られるのは初めてではありませんか?
いえいえ、それは構わないのです。
「いつもの」、と言われるのであれば、その体でお出しいたしますので。
最近、何故かそういったお客様が多いのですよ。
最初は私も困惑したりもしたのですが、彼女のお陰で、今ではすっかり慣れてしまいました。
彼女って誰か、ですか?
自分以外にもそんな客がいるならどんな人なのか聞いてみたいと?
そうですね。
今晩は他にお客様もいらっしゃいませんので、ゆっくりと話し相手になっていただけますか?
カクテルでも飲みながら、くすりと笑っていただければ幸いです。
どうぞ、「いつもの」カクテル。
ソルティドッグです。
何故このカクテルを選んだか。
気になるのであれば、是非とも本編をお楽しみくださいませ……。
ゲストの女性は、バーで様々な役を演じる。
でも、ちょっとしたことで素が出てしまって、演じきれないところが可愛いです。
そしてバーのマスターも、マスターとしての姿を演じている。
でも、最後に盛大に塩をまいてしまうところとか、これまた演じ切れていないところが見えて、マスターもまた可愛い。
素が出て可愛いと思えるのが良いですよね。
私もこの作品を読みながら『この世は舞台、人はみな役者』なん~て言って、シェイクスピア劇マニアを気取ってみようかな。
でもすぐに素が出て・・・こちらは恥ずかしいだけの状態になると思います。
めちゃ愉しい短編物語です。とにかく一度お読みください。
大人の空間、バー。
マスターとの対話は誰もが憧れるシチュエーションです。
でも、残念ヒロインさんと不憫マスターさんのやりとりが、バチクソ面白い。
もうね、これは読んでもらうのが良い。マスターのツッコミがめちゃくちゃ最高なのです。
毎話、よくもこんなにシチュエーションが思い浮かぶモノだと感心しきり。
本当に作者様は、マンネリ化せずに多種多様な作品を書く七瀬 莉々子先生クオリティーはさらにバージョンアップ。
短編で☆200オーバーという実力者の作品ならではの安定感。
今宵、素敵な夜をヒロインさんと一緒にランデブー。
マスターさんに胃薬の差し入れをしたくなります(笑)