「これは夢だから」——最後の優しい嘘
- ★★★ Excellent!!!
目覚めれば、冬の夜の工業高校に囚われていた。迫る異形の怪物、開かない出口――
そして現れたのは、顔半分が焼け爛れた少女、切崎贄子。「絶世の美少女」を自称する彼女の助けを借りながら脱出を目指すが、季節のズレ、開かない扉、繰り返される違和感が次第に真実を暗示し始める。
パンドラの箱、夏と冬の境界、工場裏のドラム缶——
散りばめられた伏線が収束する先に待つのは、10年分の絶望と、たった一つの優しい嘘。
ホラーの恐怖と切なさが絶妙に交差する一編。美醜が共存する贄子の不思議な魅力と、ラストに明かされる真相が胸に突き刺さります。