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ようやく、平穏な日々が戻って来た。
私室でわたしは、久しぶりにシオンにお茶を淹れてもらいながら、ようやく取り戻した静けさを堪能していた。
姉は、押しかけて来た王子のなかで一番イケメンだったヤツを追いかけて出て行ってしまった。たくましすぎるだろ。
姉が出て行ってしまったせいですっかり気の抜けた両親は、あれからごちゃごちゃ言わなくなった。
もっとも、言って来たらまた「指輪をつかって神にお祈りするぞ」って脅すけど。
……ただまあ、嫁入り問題が完全に解決したわけじゃない。このままだと結局、クソ中年王子に嫁がなきゃいけないのは変わらない。
けど、その前に相手が見つかっていれば話は別だ。
「なら、改めてノエルさまの結婚相手を探しましょう」
「いらねえよ、めんどくさい。王子さまはもうこりごり」
ふとシオンに目をやる。こいつ見た目は悪くないんだよな。あの王子どもと比べても。性格も口もクッソ悪いけど。
……ただまあ、こいつがいなかったら危なかったし、その、わりと助けてもらってた、と、思う。
「ここまで付き合ってくれたお礼に、お前みたいな偏屈男の嫁になれそうな奴を見つけてきてやってもいいぞ。心当たりが一人だけいるんだけどな」
冗談めいてそう言うと、シオンは笑った。
「奇遇ですね、こちらもクッソ性格悪くてめんどくさい姫のお相手になれそうなのを一人だけ知っています」
その笑顔は、ちょっとだけ、悪くなかった。
溺愛王子一万人 鵜久森ざっぱ @zappa_ugumori
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