クソガキとハリーポッター

カワソタ

第1話 

はじめましての皆様、おはこんばんにちわ。


カクヨム始めるぞってなった時に、最初に書くべき小説ってなんだろう、と考えた末に、自己紹介がてらのエッセイに辿り着きました。


エッセイというのはなかなかにコクの深いもので、物語のように起承転結のはっきりしたものから、本当に徒然なるままにというようなものもあるわけで、私は特にこれが書きたいということもないわけですから、指がパネルを滑るままに書いていきたいと思う所存です。


僕は京都のごくごく普通の家庭に生まれた。

小さい頃に低緊張でリハビリを受けたり肺炎になって長い間入院したりなかなかに病弱だった僕でしたがどうにかその細い息を絶やすことなく成長できた。


小学校2年生のとき母親から勧められた本をきっかけに本を読み出すとその面白さにどハマりし読書の道へ。同時期に友達に教えてもらったYouTubeにどハマりしYouTubeの道へ。


こうして病弱色白の、本とYouTubeの好きな捻くれたクソガキが爆誕してしまったわけだ。


そんなクソガキの大好きな本は、ハリーポッター。本とYouTube、小さい頃特有の常にキラキラした周囲の環境に隅々まで染まった子供にとってハリーポッターはあまりに魅力的で甘美な幻想を与えてくれる。


朝起きて、まだ硬さの残るランドセルに教科書とハリーポッターを詰め込み登校すれば、朝読書の時間を使ってハグリッドと森の探検にでかけ、帰ると宿題そっちのけで賢者の石を探すために試練を突破する。


何かが欲しい時はアクシオ(呼び寄せる魔法)を呟き、何かに評価をつける時はホグワーツの成績表に則り、動物と喋る時はシャーシャーと息を漏らしてヘビ語を操る。


眠れない時は布団に本をもちこんで暗い図書館を探索するハリーにスタンドライトであかりを灯してあげることを妄想する。


ただ勿論僕は捻くれた少年だから、決してハリーなんかには憧れない。ハリーは主人公であり僕自身だけれどもちっともカッコよくなんかなくて、やっぱり一番カッコいいのは誇り高き偉大なスリザリン。


なにかと敵側に回ってはもっと一気に攻めればハリーを倒せたのに、とか逆張ってみせるのに、ハリーが追い詰められたら心臓は痛いくらいに脈打って、落ち着かなくなってしまう。


マルフォイにムカつく気持ちを抑えながら、わざと俺ならもっと上手くできるんだけどな、なんて呟いてみる。


そんなクソガキはとうとうその捻くれ具合を人間関係にも拗らせて、面白くもない、話も通じない奴らよりハリーポッターのほうがよっぽど面白いと言い始め、一人世の中のことを知ってる風の顔でスリザリンのような偉大さを演出する。


無邪気で、頑固で、ナルシストな僕の頭の中。 


数年、十数年で変わるはずのないほど強烈なイメージとして定着した僕の中のクソガキは、

こうして言語化すればするほど大きくなる恥ずかしさと、圧倒的な自尊心と懐かしく香ばしい匂いを抱えながら、今も僕の中で少し濁ったさまざまな感情を吐き出し続けている。


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クソガキとハリーポッター カワソタ @Ojiichaaan

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