ナガスクジラの尾肉が落札されたので少し語る

@akiakne

第1話

本日、北海道産のナガスクジラの生の尾肉が一キロ15万34円で落札された。過去最高額だという。

ここでこう思った人はいるハズ。何でそこまで食べない鯨の肉がそこまで高いのかと。

確かに今だと消費量は減った。だが、ナガスクジラの尾肉というのは少し特別な存在でもあるのだ。


かつてはクジラの肉というのは広く日本で食べられていた。戦後の復興において、食糧不足の解決策として、一頭で大量の肉が取れるクジラは重宝された。

その中で、最も味がよいとされたのはナガスクジラである。次点はシロナガスクジラとマッコウクジラだってりする。

ナガスクジラの尾肉はその中でも格別とされた。クジラの尾は最もクジラにとって重要な部位であり、そこには旨みが凝縮されている。最も美味なクジラの旨みの極みなど、想像したら腹が減るものだ。


だが、ナガスクジラは数を減らした。理由は簡単なもので、環境の変化やイワシなどの乱獲によるエサの減少、そしてナガスクジラ自体の乱獲。

元々ナガスクジラは西洋の国々により、機械油に利用するために鯨油目的で乱獲されていた。それによりかなり数を減らした。そこに戦後復興中の日本の捕鯨も加わったのだ。


そして、欧米において反捕鯨の風潮が強まりナガスクジラはシロナガスクジラやマッコウクジラなどと共に禁漁になった。そうして禁漁になってから早40年以上が経過し、幻の鯨と呼ばれるようになった。もう食べられないものだと諦めている人も多かった。(一応補足しておくと、アイスランドは日本が再開するよりも早くナガスクジラの捕鯨を再開していた。)


だが、日本のIWC脱退による商業捕鯨再開などで潮目が変わった。日本は捕鯨に注力するようになる。

そして去年、充分な資源量が確認されたとして水産庁はナガスクジラの捕鯨再開を発表した。ナガスクジラは2024年に59頭、2025年に60頭の捕獲枠が設定され、獲られるようになった。40年以上の時を経て、再び生のナガスクジラを食べれるようになったのだ。


ナガスクジラは今年も捕獲されており、肉も出回っている。

尾肉は高くて無理かもしれないが、売っていたら食べてみるのもよいかもしれない。

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