『俺達のグレートなキャンプ188 200歳現役キャンパーとキャンプしよう』
海山純平
第188話 200歳現役キャンパーとキャンプしよう
俺達のグレートなキャンプ188 200歳現役キャンパーとキャンプしよう
「よっしゃああああ!今回も張り切っていくぞおおおお!」
石川の両腕が秋空に突き上げられ、その声は山々にこだまする。テントを張り終えたばかりのキャンプサイトで、彼の目はギラギラと輝き、口角は耳まで裂けんばかりに上がっている。背中からは「やる気」という文字が見えそうなほどのオーラが噴出していた。
「おお!今回はどんなグレートなキャンプなんだ!?」
千葉も負けじと拳を握りしめ、キラキラと期待に満ちた瞳で石川を見つめる。彼の全身からは「楽しみで仕方ない!」というオーラが溢れ出ており、その場で小刻みに飛び跳ねている。足踏みのリズムは完全に「ワクワク」を表現していた。
一方、富山は焚き火台の準備をしながら、肩を小さく落としてため息をついた。
「はぁ...また何か変なことするんでしょ...前回の『キャンプ場でフラメンコ大会』で周りのキャンパーさん達、すごい目で見てたんだけど...その前の『逆さまテント生活24時間』も意味わかんなかったし...」
富山の眉間には深いシワが刻まれ、その表情には明らかな不安が浮かんでいる。彼女の肩は既に諦めモードで下がりきっていた。
「大丈夫大丈夫!今回は絶対盛り上がるって!なぜならっ!」
石川がバッと振り返り、両手を広げて高らかに宣言する。その動きはまるで舞台俳優のよう。背後では夕日が差し込み、逆光で彼のシルエットがやけにドラマチックに浮かび上がる。
「今回の俺達のグレートなキャンプ188は...『200歳現役キャンパーとキャンプしよう』だああああ!」
「「......は?」」
千葉と富山の動きがピタリと止まった。千葉は薪を持ったまま硬直し、口がぽかんと開いている。富山は焚き火台の上で手を止めて、ゆっくりと石川の方を振り向く。その動きはロボットのようにカクカクしていた。
「に、200歳...?200歳って...江戸時代...?」
富山の声が震えている。顔は引きつり、目が点になっている。
「そう!200歳!本物の200歳!しかも超元気な現役キャンパー!マジで200年生きてる人!」
石川がスマホを取り出し、画面を二人に見せる。そこには「キャンプ歴180年!現役最高齢キャンパー、若者とキャンプしたい!」という驚愕の掲示板書き込みが表示されていた。
「いやいやいやいや!おかしいでしょ!200歳って!?生きてるの!?人間なの!?妖怪なの!?」
富山が両手を頭に乗せて叫ぶ。その顔は真っ青を通り越して青紫色になっている。完全にパニック状態だ。
「すっげええええ!180年もキャンプしてるのか!どんな話が聞けるんだろう!江戸時代のキャンプってどんなんだったんだ!?ワクワクするぜ!」
千葉は完全に乗り気だ。目をキラキラさせながら、その場で飛び跳ね、両手をブンブン振り回している。もはや小学生のようなテンションだ。
「ちょ、千葉くん、冷静に考えて!200歳の人がキャンプ場に来れるわけ...というか200歳まで生きてる人間が...」
富山の言葉が終わる前に、キャンプ場の入口から威勢の良い声が響いてきた。
「よっしゃああああ!着いたぜええええ!」
現れたのは、巨大なリュックサックを軽々と背負った一人の老人。いや、老人というにはあまりにも動きが軽快すぎる。白髪で長い髭を蓄えているが、その足取りは20代のバックパッカーのように力強く、むしろ小走りでこちらに向かってくる。
「うおおおお!来たあああ!」
石川が全力疾走で老人の元へ駆け寄る。
「おう!石川君か!掲示板で連絡くれたな!わしゃ佐藤じゃ!今年で200歳!まだまだ現役バリバリだぜええええ!」
佐藤と名乗った老人が、リュックを地面に豪快に叩きつける。ドスン!という音とともに、地面に小さなクレーターができた。その重さ、推定50キロ。
「に、200歳...」
富山が呆然と呟く。目は完全に点になっており、口はアングリと開いたまま。
「よろしくお願いします!」
石川が深々と頭を下げると、佐藤も元気よく頭を下げた。その動きはまるで体操選手のようにしなやかで、腰がまったく曲がっていない。
「おう!今日はよろしく頼むぜ!久しぶりの若者とのキャンプじゃ!楽しみじゃあ!」
佐藤が豪快に笑う。その笑顔は太陽のように眩しく、歯は全部揃っていて真っ白に輝いている。
「あの...本当に200歳...なんですか...?」
富山が恐る恐る尋ねる。声は震え、顔は信じられないという表情でいっぱいだ。
「おう!1825年生まれじゃ!まだまだ元気だぞ!ほれ!」
佐藤がその場で突然、側転を披露した。しかも三回連続。最後はバク転で締める。
「うおおおおお!すげええええ!」
千葉が拍手喝采。目は完全にキラキラ輝いている。
「ちょ、ちょっと待って...1825年って...江戸時代じゃん...ペリー来航の前じゃん...」
富山が青ざめながら呟く。彼女の世界観が音を立てて崩れていくのが見えるようだった。
「さて!早速テント張るか!わしの技術、見せてやるぜ!」
佐藤が巨大なリュックからテントを取り出す。それは見たこともないような古めかしいデザインのテント。いや、よく見ると布と木の棒でできた、まるで幕末の陣幕のようなものだった。
「これがわしの愛用テントじゃ!180年の相棒よ!」
「180年前のテント!?まだ使えるの!?」
千葉が興奮気味に声を上げる。
佐藤はニヤリと笑うと、その古びたテントをものの3分で設営し始めた。その動きは驚くほど素早く、無駄がない。ペグを打ち込む速度は機械のよう。ハンマーを振るう腕は残像が見えるほどだ。
「うおおおお!速い!速すぎる!」
石川が目を見開いて叫ぶ。
「これが180年の経験じゃ!体に染み付いとるんじゃよ!」
佐藤が胸を張る。そして最後にテントの頂点にフラッグを立てた。そこには「現役200歳」と大きく書かれている。
「次は焚き火じゃな!」
佐藤がリュックから火打ち石を取り出す。本物の火打ち石だ。
「今時火打ち石!?」
富山が驚愕の表情で叫ぶ。
「これがわしのスタイルじゃ!180年前から変わらん!」
カチン、カチン、と火打ち石を打ち合わせる。すると一撃で火花が飛び、見事に火口に着火した。
「うおおおお!一発!?プロじゃん!」
千葉が興奮して飛び跳ねる。
「ふふん、これくらい朝飯前じゃ!さて、次は料理じゃな!今日はわしの得意料理を振る舞うぞ!」
佐藤がリュックから食材を取り出し始める。出てくるのは、米、魚、野菜。そして古めかしい鉄鍋。
「おお!何作るんですか!?」
石川が身を乗り出す。
「江戸時代のキャンプ飯じゃ!『旅籠風 焚き火炊き込み飯』!」
「江戸時代の!?」
三人が声を揃えて叫ぶ。
佐藤は手際よく魚をさばき始めた。その包丁さばきは寿司職人も真っ青の腕前。魚が一瞬で三枚におろされ、野菜も瞬時にみじん切りにされていく。
「すげええ...プロの料理人みたい...」
富山が呆然と呟く。
「180年も料理しとればな、こんくらいできるようになるんじゃよ!」
佐藤が豪快に笑いながら、鉄鍋に米と具材を放り込み、焚き火の上に設置する。
「さて、炊けるまで昔話でもするかの!」
佐藤が焚き火の前に座り、三人も慌てて座る。
「わしがキャンプを始めたのは20歳の頃じゃったな。あれは1845年...天保の改革が終わって、世の中が少し落ち着いてきた頃じゃった」
「天保の改革...!教科書で見た...!」
富山が震える声で呟く。
「当時はまだ『キャンプ』なんて言葉はなかったがの。『野宿』とか『野営』って言っとったわ。わしは全国を旅しながら、各地で野宿しとったんじゃ」
「すげええ...リアル江戸時代の旅...」
千葉が目をキラキラさせて聞き入る。
「そうそう、あの時に京都で面白い侍に会ってのう。名前は...確か新選組とかいう集団におった男じゃったかな」
「新選組!?」
三人が驚愕の声を上げる。
「おう、まだ若造じゃったが、剣の腕はすごかったぞ。一緒に焚き火を囲んで酒を飲んだもんじゃ。『俺たちは京の治安を守るんだ』とか熱く語っとったわ」
「マジで歴史の教科書に出てくる人と飲んでる...」
富山が頭を抱える。
「それでのう、明治維新の時は大変じゃったわ。戊辰戦争であちこちドンパチやっとって、のんびりキャンプもできんかった。じゃから北海道に逃げてのう、そこで数年キャンプ生活しとったんじゃ」
「北海道...まだ開拓時代...?」
「そうじゃそうじゃ!熊がわんさかおってのう、毎晩テントの周りをウロウロしとった。じゃからわしは熊と友達になったんじゃ」
「友達!?」
「おう、餌付けしてのう。『太郎』って名前つけて、一緒にキャンプしとったわ。可愛かったぞお」
「ヤバい...スケールがでかすぎる...」
石川が額に手を当てて呟く。
「それでのう、明治20年頃じゃったか、東京に戻ってきたら、なんと『文明開化』とかいってのう、みんな洋服着とるんじゃ。わしはびっくりしたわ」
「いや、そっちが驚く側なの...?」
富山がツッコむ。
「そうそう、それで大正時代になってからは、キャンプも少しずつ『レジャー』として認識され始めてのう。わしも嬉しかったわ。ようやく時代が追いついてきたって感じじゃった」
「時代が追いついてきた...?どっちが先...?」
千葉が首を傾げる。
「それでのう、昭和になってから戦争が始まってのう。またキャンプどころじゃなくなった。わしは山奥に籠もって、ひっそりキャンプしとったわ」
「戦争を山でやり過ごしたの...?」
「おう、戦争終わってから出てきたら、世の中がガラッと変わっとって、またびっくりじゃ。それから高度経済成長じゃろ、バブルじゃろ、平成じゃろ、令和じゃろ...もう目まぐるしかったわ」
「全部リアルタイムで経験してる...」
三人が呆然とする。
「そうそう、昭和40年頃じゃったかな、『グループサウンズ』とかいうのが流行っとってのう、わしも真似して髪を伸ばしてみたんじゃ」
「200歳がグループサウンズ...?」
「おう!『ブルーコメッツ』が好きでのう!♪ブルー、ブルー、ブルーライト横浜〜って歌っとったわ!」
佐藤が突然歌い出す。その歌声は驚くほど力強く、音程もしっかりしている。
「歌うんだ...」
富山が脱力した表情で呟く。
「それでのう、平成になってからはキャンプブームが何度も来ての う。『オートキャンプ』とかいうのが流行った時は、わしもびっくりじゃ。車でキャンプ場まで来るんじゃもん」
「それが普通なんですけど...」
石川がツッコむ。
「わしは昔ながらに徒歩でリュック背負って来るスタイルを貫いとるがの!これが本当のキャンプじゃ!」
佐藤が胸を張る。
その時、鉄鍋からいい匂いが漂ってきた。
「おお!炊けたぞ!」
佐藤が鍋の蓋を開けると、湯気とともに芳醇な香りが広がる。中には見事に炊き上がった炊き込みご飯が輝いていた。
「うおおおお!美味そう!」
千葉が目を輝かせる。
「さあ、食べんかい!」
佐藤が木のしゃもじでご飯をよそい、三人に配る。
「いただきます!」
三人が箸を口に運ぶ。
「うまっ!!!」
三人が同時に叫ぶ。その味は絶品だった。米の一粒一粒に味が染み込み、魚の旨味と野菜の甘みが完璧に調和している。
「180年の経験が詰まっとる味じゃ!どうじゃ!」
佐藤が得意げに笑う。
「マジで美味い...今まで食べたキャンプ飯で一番かも...」
石川が感動の表情で呟く。
「わしの技術、まだまだ見せたいものがあるんじゃが...」
佐藤が立ち上がり、リュックから何やら取り出し始める。
その時だった。
「おーい!そこのキャンプサイト!」
遠くから別の声が響いてきた。振り向くと、また別の老人がこちらに向かって歩いてくる。いや、歩いているというより、走っている。しかも全力疾走だ。
「なんじゃ!?」
佐藤が振り向く。
走ってきたのは、佐藤よりもさらに元気そうな老人だった。髪は真っ白だが、その目は少年のように輝いている。
「よう!わしゃ田中じゃ!300歳じゃ!」
「「「300歳!?」」」
四人が同時に叫ぶ。
「おお!田中さん!久しぶり!」
佐藤が驚きの表情で田中に駆け寄る。
「佐藤君じゃないか!200年ぶりじゃの!」
「200年ぶり...?」
富山が完全に理解を放棄した表情で呟く。
「300歳の人がもう一人...?どうなってるの...?」
千葉も混乱している。
「おう!わしは1725年生まれじゃ!享保の改革の頃じゃな!」
「享保の改革!?徳川吉宗!?」
石川が叫ぶ。
「おう!吉宗さんには世話になったわ!一緒に鷹狩りしたこともあるぞ!」
「徳川吉宗と鷹狩り!?」
三人が驚愕する。
「まあまあ、座れ座れ!」
佐藤が田中を焚き火の前に案内する。
「しかし佐藤君、まだ200歳とは若いのう!わしなんか300歳じゃぞ!元気さなら負けんぞ!」
田中が胸を張る。
「何を言う!わしだって負けんぞ!ほれ!」
佐藤が突然、腕立て伏せを始める。しかも片手で。しかも高速で。
「30、31、32...」
「なんじゃと!ならわしも!」
田中も腕立て伏せを始める。こちらも片手。しかも指一本で。
「なにこれ...」
富山が呆然と呟く。
「おもしれええええ!」
千葉が大爆笑している。
二人の老人が腕立て伏せで競い合っている光景は、完全にシュールだった。
「50、51、52...」
「60、61、62...」
「負けんぞ!」
「こっちこそじゃ!」
その時、またもや別の声が響いてきた。
「ほっほっほ!面白いことしとるのう!」
今度は杖をついた、さらに年老いて見える老人が現れた。しかしその足取りは軽快で、杖はただの飾りのようだ。
「わしは山本じゃ!400歳じゃ!」
「「「「400歳!?」」」」
五人が同時に叫ぶ。
「400歳!?もう次元が違う!」
石川が頭を抱える。
「おお!山本さん!300年ぶり!」
田中が腕立て伏せをやめて立ち上がる。
「300年ぶり...もう感覚がおかしい...」
富山が地面に座り込む。
「1625年生まれじゃ!江戸幕府ができたばっかりの頃じゃな!」
「江戸幕府の初期!?家康の時代!?」
千葉が叫ぶ。
「おう!家康さんは真面目な人じゃったのう。一緒に釣りしたことあるわ」
「徳川家康と釣り!?」
「おう、よう釣れたぞ。鯛がな」
山本がニコニコしながら語る。
「いやいやいや、わしの方が年上じゃぞ!元気さなら負けんわ!」
山本が突然、バク宙を披露する。しかも三回転。着地は完璧。
「おおお!?」
周りのキャンパー達が集まってくる。何事かと。
「なんじゃと!ならわしも!」
田中がバク転を五回連続で披露する。
「負けんぞ!」
佐藤が側転からのバク転コンボを決める。
「なにこれ...高齢者の運動会...?」
富山が完全に呆然としている。
「わしが一番元気じゃ!」
「いやわしじゃ!」
「わしに決まっとる!」
三人の超高齢キャンパーが言い合いを始める。
「よし!決着をつけようじゃないか!」
山本が突然宣言する。
「何で決める!?」
田中が身構える。
「ダンスバトルじゃ!」
「「ダンスバトル!?」」
全員が驚愕する。
「おお!いいぞ!」
佐藤が拳を握る。
「ちょ、ちょっと待って...400歳、300歳、200歳のダンスバトル...?」
石川が困惑した表情で呟く。
「やるぞ!石川君、音楽をかけてくれ!」
山本が指示する。
「お、音楽...?」
石川が慌ててスマホを取り出し、Bluetoothスピーカーに接続する。
「何かけます...?」
「ヒップホップじゃ!」
「ヒップホップ!?」
石川が慌てて音楽を流す。ズンズンズンズンと重低音が響き渡る。
「よし!わしからじゃ!」
山本が真ん中に出てくる。そして突然、信じられないほどキレのあるブレイクダンスを披露し始めた。ウィンドミル、ヘッドスピン、フリーズ。全てが完璧だ。
「うおおおおお!?」
周りのキャンパー達が拍手喝采。
「すげええええ!400歳がブレイクダンス!?」
千葉が目を見開いて叫ぶ。
「次はわしじゃ!」
田中が飛び出してくる。今度はロックダンスを披露。ポップ、ロック、ウェーブ。その動きは機械のように正確だ。
「300歳がロックダンス!?世界観崩壊してる!」
富山が叫ぶ。
「負けんぞ!」
佐藤が最後に登場。彼はなんとヒップホップダンスを披露。ランニングマン、クラブステップ、完璧なリズム感。
「200歳がヒップホップ!?もう何も驚かない!」
石川が笑いながら叫ぶ。
三人の超高齢キャンパー達が次々とダンスを披露する光景は、完全にシュールを通り越して芸術の域に達していた。周りのキャンパー達も完全に釘付けになり、拍手と歓声が止まらない。
「ほれほれ!」
「どうじゃ!」
「まだまだ!」
三人が競い合うようにダンスを続ける。その体力は驚異的で、一向に疲れる様子がない。
「すげええ...元気すぎる...」
千葉が感動の表情で見つめる。
「これが長生きの秘訣か...?」
石川が呟く。
「わかんない...もう何もわかんない...」
富山が完全に思考停止している。
ダンスバトルは30分以上続き、ついに三人とも疲れて座り込んだ。
「はあ、はあ...いい運動じゃったわ...」
山本が額の汗を拭う。
「久しぶりに体を動かしたわ...」
田中が笑う。
「楽しかったのう!」
佐藤も満足そうだ。
周りのキャンパー達から大きな拍手が起こる。
「すごかったです!」
「感動しました!」
「元気もらいました!」
様々な声が飛び交う。
「ふふ、まだまだ若いもんには負けんぞ!」
山本が胸を張る。
石川、千葉、富山の三人は、焚き火の前で呆然と座っていた。
「...今日のキャンプ、グレートすぎない...?」
石川がぽつりと呟く。
「...うん、グレートすぎる...」
千葉が頷く。
「...もう何も言えない...」
富山が脱力している。
「さて!これからが本番じゃ!わしらの技術、まだまだ見せるぞ!」
佐藤が立ち上がる。
「まだあるの...?」
三人が恐る恐る尋ねる。
「当たり前じゃ!これから400年分のキャンプ技術を全て伝授してやる!」
山本が意気揚々と宣言する。
「夜通しじゃ!」
田中も加わる。
「「「えええええ!?」」」
三人が叫ぶ。
こうして、史上最もカオスでグレートなキャンプの夜が始まった。
400歳、300歳、200歳の超高齢キャンパー達は、次々と驚異的なキャンプ技術を披露していく。ロープワークは魔法のよう。火起こしは瞬間芸。料理は芸術。テント設営は曲芸。
全てが規格外だった。
周りのキャンパー達も次々と集まってきて、いつの間にかキャンプ場全体が巨大な宴会場と化していた。
「これが...俺達のグレートなキャンプ188...」
石川が夜空を見上げながら呟く。
「最高だぜ...」
千葉が笑顔で頷く。
「...まあ、楽しかったけど...もう二度とやりたくない...」
富山が疲れた表情で呟いた。
焚き火の炎が夜空に昇り、星々が輝く中、超高齢キャンパー達の笑い声が山々に響き渡った。
「わっはっはっは!」
「ほっほっほっほ!」
「がっはっはっは!」
その笑い声は、まるで200年、300年、400年分の人生の喜びが凝縮されたかのように、力強く、そして温かかった。
「...来週は何するんだ?」
千葉がふと尋ねる。
「ああ、来週はな...『宇宙人とキャンプしよう』だ!」
石川が満面の笑みで答える。
「「は!?」」
千葉と富山が同時に叫んだ。
「まだやるの!?」
富山の叫び声が、秋の夜空に響き渡った。
こうして、俺達のグレートなキャンプ188は、伝説として語り継がれることとなった。
「キャンプ場に400歳がいた」という都市伝説とともに。
<終>
『俺達のグレートなキャンプ188 200歳現役キャンパーとキャンプしよう』 海山純平 @umiyama117
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