一角獣を象徴とした寓話的な幻想小説。終わらせたくないものがここにある。

この作品には、確固たるテーマ性や読者へ向けた強いメッセージ性のようなものはない。
あるのは、芸術的な心の感性で読む、幻想小説。
読み手によって姿かたちを変えるもの。

世界の終わりを迎える二つの世界。
一見、関わりがないもの同士なのだけど、どこかで繋がっている。
そんな気がする。

私は、こういう寓話的で象徴的なお話が大好きです。
二層構造も、よくわからないけど書きたくなる気持ちがすごくよくわかる。
これを書くことによって、構造に深みが増し、読者に考えさせる作品になっている。

筆者さまがよくわからないと思われていても、潜在意識の下でくすぶっているものが現れているような、そんな気がします。

とくに、象徴として用いている一角獣が美しい。
しかも、それが病気で弱々しい存在として描くことで、更に儚さを与えてくれています。
一角獣からは、純粋さや無垢さのような穢れなきもの、をイメージします。
それらが「世界の終わり」によって失われていく切なさ、悲壮感のようなものを感じました。
そして、その純真さが最後に選んだ生きのびたかもしれない未来。

とても寓話的で素晴らしいと思いました。

「世界の終わり」というワードから、このような作品を生み出した筆者様の感性を賞賛いたします。
素敵なお話をありがとうございました。

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