知らない僕へ
@raioneru-
知らない僕へ
胸の奥でやけにうるさい 鼓動のノック
「ひとりで平気」なんて 強がりの行進曲
君が笑うたび 世界が少しだけ整い
気づかないふりで 置き去りにした
君がいない空は やけに広くてさ
風の音まで 全てウソみたいに軽くて
“足りない”この気持ちを
やっと自分の声を出せた
知らなかった愛の形を
ぶつかっても離れなくて
不器用な僕の全部を
なんでだろう、許してくれる君
“ありがとう”が胸の奥で
渋滞して動けないまま
背中が小さく滲むたび
言えない僕をまた、責めてしまう
放課後の隅っこで笑いあう しょうもない冗談
あの日の僕らは 永遠を信じていた
君が残したメモみたいに
ふとした拍子に思い出す仕草が
胸の奥をまだノックする
夕焼けが無理やり明日を連れてきて
伸びる影はひとつだけ
“当たり前”の無防備さに
泣きたくなる
さよならの意味を知らないまま
大事なものを手放した
「またね」と言う君の声を
未来まで持ってきたかったのに
曖昧な僕らの距離さえ
青春の一部だと思えばいい
痛みがくれた温度だけは
なぜだろう まだあたたかいまま
もしも時間を巻き戻せるなら
たぶん僕はまた間違いをして
同じように君を好きになる
そんな面倒くさい自分ごと
やっと抱きしめてもいいと思えたよ
君が教えてくれた世界は
失って初めて色がわかる
笑った顔も 怒った声も
全部が今日の僕を作ってくれた
“ありがとう”を空に放つ
届くかどうかなんてもういい
青春の中に残った傷は
未来を照らす地図になるから
さよならの少し手前で
知らなかった僕らへ もう一度。
知らない僕へ @raioneru-
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