藍き暮らし
伊吹 藍(いぶき あおい)
私と三島由紀夫
私と三島由紀夫が出会ったのは今から五年前の二〇二〇年、コロナ禍真っ只中の事である。コロナの影響で大學の講義が無くなった私は、大学生としてする事もなく、ただダラダラとYouTubeを観る毎日を過ごしていた。五月の事だったと記憶しているが、その日も何気なくYouTubeのアプリを立ち上げると、オススメ動画欄の一番上に「三島由紀夫 - 檄」という動画が現れた。恥ずかしながら、その日まで三島由紀夫の存在を知らなかった私は軍服(楯の会の制服)を身にまとい、右手を掲げ、激しい表情を浮かべるその「三島由紀夫」という男性に興味が湧き、その「三島由紀夫 - 檄」を再生した。その動画は、私を驚愕させるのに十分なものであった。三島由紀夫の言葉のひとつひとつが心を突き動かす……そんな風に感じたのだ。それから、三島由紀夫について調べた。すると、彼は「小説家」であることが分かり、再び驚愕した。それから三島先生の作品を新潮文庫や角川文庫、ちくま文庫などの本で収集し、識字障害ながらも図書館で全集を借りて読み込むほど三島先生に熱中した。また、NHKで過去に放送されたドキュメンタリーや三島先生主演の『からっ風野郎』、『憂國』なども視聴し、大學が始まる6月中旬までの約2、3週間ですっかり三島由紀夫漬けになった。
あれから五年が経ち、今ではどうかと現状を問われると、あまり変わらないというのが結論になる。というか、三島先生に対する“愛”(愛と表現していいのか分からないが)はより一層深いものになっている。今年の2月には三島先生の署名本を購入し、夜眠れない時にはドキュメンタリー映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』を聴きながら寝ている。
今年は三島由紀夫先生の生誕100年にあたる年、あの世でも“スタア”なのだろうか。それとも既に生まれ変わっているだろうか。もしも生まれ変わっていたら、令和の時代にまた神話を作り上げてくれるかもしれない。
藍き暮らし 伊吹 藍(いぶき あおい) @Aoi_ibuki
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