ストーブ

海藤日本

ストーブ

 これは、私の知り合いが実際に体験した話である。今から四十年近く前の事である。

 一人の若い女性が、とある田舎村のアパートに引っ越して来た。

 田舎という事もあり、周りには田んぼが沢山ある。そして、すぐ側には溜め池もあった。

 女性は、初めての一人暮らしであった為、テレビや洗濯機、冷蔵庫にストーブなどを、新しく買った。

 それ故、荷物は多くその日は疲れていた。


「やっと終わった……。今日は、もうお風呂に入って寝よ」

 

 時期は真冬だった為、寝る前にストーブを着けようとした。しかし、何故だかストーブが着かないのである。


「あれ、今日買ったばかりなのに……」 

 

 何度スイッチを入れても着かない為、「これは不良品だ。明日、店に言いに行こう」と思い、その日は毛布にくるまって寝た。

 次の日、店に行こうと外に出た時、周りには沢山の警察官が居た。


「なにかあったのかしら……」

 

 そう思っていると、同じアパートに住む人が話しかけて来た。

「今朝、あの溜め池から遺体が発見されたみたいですよ……。その人は昨日の夜に……」

 

 彼女は「まさか」と思い、急いで部屋に戻った。恐る恐るストーブを着けると、火が灯った。そして、このアパートに住む人達は全員、遺体が見つかる前日、ストーブが全く着かなかったそうだ。

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ストーブ 海藤日本 @sugawararyouma6329

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