第5話 読者と私と

 こんなタイトルだけれど、読者と私は遠くにいる。正確に言えば、他の方法に比べると大変、回り道をしてやり取りをしている。

 何か言いたいことがあれば、直接、文章か言葉にして伝えればいい。直接呼び止めて、軽く立ち話をした方が早いに違いない。

 誰にどこまで広く届けるかによるけど、SNSを活用した方が手っ取り早いように思う。

 それでも、小説という媒体を採用しているのは、小説だから表現できるものがあるからだ。私が書くときはテーマ、思考実験などが根っこにある。これを直接的な手段で表現すると、身も蓋もないぶっちゃけ話になったり、不謹慎か不規則で白い目で見られる話題も含まれるだろう。

 私はこの距離が好きで小説を書いている。一旦、私から言葉に切り離し、読者に好きに読んでもらう。意図したように伝わることもあれば、思いもよらない新発見を教えてもらったりもする。時にはインスピレーションをもらうことも。直接的なやり取りでは得られないものを求めている。

 こういう主張をするのなら、名前はばらけさせて活動してそうなものだが、だいたい同じ名前を使っている。カクヨムなら姫宮フィーネ、ほかではFine Lagusaz。

 もし、他の作品に触れることがあったら、作者のことは忘れて、作品にだけ目を向けて欲しい。そうすることでしか見えないものがあるだろうから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自己表現の手段を手放すな 姫宮フィーネ @Fine_HIMEMIYA

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ