裏ボスside:第1話:神殺しの逆襲

 黒き葉が生い茂る木々に覆われた深き【闇の森】。そこには天高く聳える塔のような影が現れた。それだけでなく、何かがぶつかり合う轟音が鳴り響き、空気を荒ぶらせ、暗雲に雷を迸らせた。

「な、なんじゃあ!? なんじゃ、あの塔は!?」

「神の祟りじゃあ! 世界の終わりじゃあ!」

 近隣の村の人々が恐れ慄く中、塔の影の中では…


「巫山戯るなぁ! 多くの神々を滅ぼし、最高神と宣うあの屑を絶望の淵に陥れ、不意を突かれて、封印された妾がただぷれいやーという外世界の凡人に操られた者に敗れるなど屈辱以下の侮辱だ! 糞が糞が糞が糞が糞が!」

 淡い虹色のベールに包まれた豊満な胸と白き肌の官能的な御体という姿、銀髪のロングヘアーと黄金の瞳を持つ赤目を持つ、神殺しの女神『ハイエス』。

 かつて、堕落した神々を裁くためにそのほとんどを滅ぼし、最高神が命懸けで封印された女神かのじょは今では塔の柱に美しいお顔を何度も打ち付けるほど怒り狂っていた。

「こうなるなら、死を待つ必要はない! 我が四天王どうほうたちよ! 今すぐ我が欠片を持って、神滅塔を顕現させ、妾を解放しろぉ!」

『いいのですか? 今、解放されたら、霊体は朽ちてしまうのでは?』

「ふふふ、妾が怒り任せに自らがこの世界から消える愚行をすると思うか?」

 四天王の一人の心配を他所にハイエスには妙案があった。


 魔王国に聳え立つ黄金の魔王城、その遥か上空に次元の裂け目があり、虹彩サイケデリックな異次元の迷宮が広がっていた。

 その中に背中に蜘蛛の八本脚が生え、胸に大きな眼球を嵌め込み、目や耳、鼻どころか頭上半分が無い、口と頬だけの顔という異形の姿で黒いローブを羽織る邪神『カオスマスター』が目玉だらけの異形の玉座に座っていた。

「ふ、今代魔王の娘にはちゃんと呪いを掛けて、人族ヒューマンや亜人共を滅ぼした暁に治すと唆したわい、まぁ、治さず、殺すがな。あの生意気な奴の顔が歪んで廃するのが楽しみだ。人族ヒューマンの教団や王族にも恩恵を与えると言ったら、犬畜生よりも涎を垂らして、魔族デモノイドとの戦争を激化させることに従ったわい。これだから、世界に混乱を導くのは楽しいわい! ふはははは、ギャハハハハハ!!」

 邪神は世界や人々の愚かさにほくそ笑むどころか、爆笑した。

「馬鹿な奴、多過ぎて、腹痛いわぁ〜! もっともっと俺を楽しませろよぉ! ギャハハハハハ!!」

 荘厳そうな態度を辞め、無邪気な悪餓鬼のように本性を振る舞うカオスマスター

 そんな邪神が余裕かました瞬間、歪んだ空間が突如裂け出し、眩い白光が広がる。

「は?」

「久しぶりだな、カオスマスター。」

「か、かか、かかかかか!? 神殺しのハイエスウゥゥゥゥ!?」

 裂け出した穴から現れたハイエス、カオスマスターが驚き慄く中、女神かのじょは彼の邪神に手を翳し、念じた。

「すまぬな、邪神とほざく。こうしてる間にも我が霊体が崩壊しつつあるのでな、思い出話に花を咲かせる暇もないわい。」

「いや、俺がこの世界に混沌を齎せるのは、あんたが天界を滅茶苦茶にして、そのゴタゴタで封印が解かれたおかげで…」

「グッバイ、次は神々以外のいい種族やつに生まれ変われよ。」

「いや、何、メタいことを言ってますのん…」

「【神々の断頭台ゴッドエグゼーション・ギロチン】」

 ハイエスは黄金に光り輝く無数のギロチンの刃でカオスマスターを粉微塵に切り刻んだ。

「ぎぃやあぁぁぁぁ!? 嫌だあぁぁぁぁ!! 死にたくない!! 死にたくない!!」

「【世界終末の後光ワールドエンドシャイニング】」

 ハイエスは身体中から神々さえも消滅させる白黒モノクロの光を空間に覆わせ、次元の裂け目や異次元の迷宮ごとカオスマスターを完膚なきまで消滅した。

「ふっ、真の邪神など我が滅ぼしたわい。しかし、この霊体も長く保たん。急がなくては…」

 そして、現世に戻ったハイエスは身体中が灰と化して、崩壊する中、最後の力を振り絞り、魔王城へと急降下した。


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ハイドリバースウォーズ〜最凶最悪の裏ボスVS最強最高の隠しキャラ、強いのはどっちだ?〜 @kandoukei

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