薔薇の棘を呑み込んで

@tamechi

プロローグ:交わることのないはずだった

麗華学院高等学校


日本有数の進学校で、何かしらの天才だけが集まる場所。

ある者は芸能界で、ある者は学問で、ある者はそのビジュアルで。


なにかの才能を持ち、秀でた存在だけが入学を許される。

その中でも、群を抜いて突出した、まさしく高嶺の花と呼ぶべき人が、現生徒会長の《高垣 律》。


整った顔立ち、抜群な運動神経、鍛えられたスタイル。それでいてその才を鼻にかけないし、誰に対しても平等で、優しい。


ここまで来れば、もはや嫉妬なんかするだけ無駄だと思えるほどの、言うなればレベチ。


世界のバグだ。

天は二物を与えずどころか、三物も四物も与えてる。きっと彼女をデザインした神様は欲張りさんだったんだ。



対して俺は、この学校内では平凡あたりに居る。一応名乗っておこう。俺は《高垣 朔》。


苗字が一緒?

理由はおいおいわかるさ。


一応こんな進学校に在籍出来てる身だから、人並みには才はあると思うが、学校内で言えば俺のスペックは平均程度。



きっと俺のデザイナーは、右利きのくせに左手でデザインしたんだ。せめて利き手でやれってんだ。


まぁそんなことはさておき。


こんな高天原と葦原中国くらい違う次元に居る2人。《普通》だったら交わることがない人生を歩むはずだろう?


でもお生憎様、俺も律も、普通じゃなかったんだな。


これは、平凡な俺と、そんな俺を忌み嫌うハイスペック生徒会長とが織り成す、平凡とは程遠いような、苦くて酸っぱくて、甘いような、青い春のお話だ。

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