AYAなキャンサバですが案外楽しく過ごしています♪

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第1話 紅い予兆

“日本人の三大疾病”“2人に1人が生涯なる恐れがある病気”といえばがんのことだと誰しもがピンとくるようになった。実際にここ数年がんに備えた保険なんかも出てきて身近な病気になりつつある。

 そんなある意味お馴染みの病気に私は25歳のときになってしまった。

 これはいわゆる若年性の直腸がんに罹り,今なお治療を続けている私の備忘録も兼ねた闘病記である。もちろん専門書ではなく素人が書いている文章なので間違っている部分もあるだろうし,同じ病気・薬であっても症状や効果は人それぞれ。あくまでも〝私の場合はこうだった”というだけなのであまり参考にしすぎないでほしい。そして何よりがんという病気と戦うことになって不安だったり落ち込んだりしている人へ少しでも私の書いた文章を読んで笑ってほしいので,この作品は闘病記だがあまり難しい医学用語は使わずになおかつ出来るだけ明るく楽しいものにしたいと思っているので気軽に読んでほしい。

 ……と前置きが長くなってしまったが不定期更新の緩い闘病記の始まり始まり!!


 2017年も残りわずかという年の瀬。私は連日続くあまりの繁忙に音を上げそうになっていた。10月に異動してきたばかりでようやく仕事に慣れてきたとはいえ,予想以上の仕事量について行くだけで必死だった。そんな状況だったから今から思えばすでに現れていた身体のちょっとした不調を見逃していた。身体の重だるさは感じていたものの,単に疲れが溜まっているのだろうと思っていた。

 年が明けてからトイレットペーパーに薄っすらと血が付くことがあった。私は不安になって母にそれとなく相談してみたが

「お正月で金時人参を食べたからとちゃう?赤いものを食べ過ぎたら時々出ることもあるで」

 と相手にされなかった。またタイミングの悪いことにこの出血があるのが生理直前で生理が終わるとこの出血もピタッと止まるので私もそこまで深刻に考えなかったのだ。

 しかしそれから3ヶ月ほど経ったある日。仕事の休憩を兼ねて入ったトイレで私は思わず叫びそうになった。トイレの水が真っ赤になるほどの出血をしていたのだ。帰ってすぐにまた母親に相談した。

「痔とちゃうの?とにかく明日朝一でお医者さん行き」

 そう言われて少し安心して私は夜を過ごした。〝どうか痔で済みますように……”とよく分からない願い事をしながら。

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