よく考えるとすごく深い( ;∀;)

6000文字ちょいの物語ですが、感覚としてはすごく短いです。迂闊な読みづらい2000文字以内の短編とは、比べるべくもない完成度です。

その理由を考えると、とてもすごい短編となります。

さて、ところで「文体」って何でしょう? 

僕は思うのですが、言葉や文章の集合体が「小説という形態に成り得る」のは、「文体」を持つゆえだと思います。

例えば同じ内容を書いてもこの「文体」を確立出来ているかどうかで、単なる作文なのか、素晴らしい小説なのか、あっけなく明白になると思います。

また「文体」を持っていても明確にその違いを感じる事が出来るのは、翻訳小説や古典の現代文訳です。人により同じ内容でも変わります。

つまり、「文体」とは小説の個性を決定づける点において、非常にセンシティブなファクターであるのです。

さて、本作です。

無駄を排した簡潔な文体。まるで箇条書きの様でいてそうではない。童話の様でいてそうではない。単純であっさりとした「文体」ながら、飽きる事はなく、くどくもなく、すらすらと読み終えてしまう。とても不思議な「文体」です。

この根幹は「リズム」にあります。

内容もさることながら、その「文体」の織りなす「リズム」に本作の持つ「生命」を感じました。

筆者様は短歌のスペシャリストです。身についた言語感覚とリズム感覚、短歌の詩型とは違えども、そこにある「リズム」が読む人間に心地よい境地を味合わせてくれるのです。

そして、そこに綴られる内容。

とても驚くのですが、思考の「裏」へ「裏」へと導かれます。これはストーリーテリングが優れているという表現では十分でなく、多少語弊はありますがトラップである二段の落とし穴、それが二段でなく無限に続く様な、そんな気分でラストまで一気に持って行かれます。

お勧め致します。

読み易くエンタメとしてあっさりと読み切る事も出来ますが、この物語の結末は「深い」と私は感じました。皆様が、どう読み、どう感じられるのか、とても楽しみな傑作です。

どうぞ、宜しくお願い致します( ;∀;)