ラ・フィユ・マル・ガルデ

リーズの結婚

『お疲れ様でした』

『ありがとうございました』

レヴェランスして

バレエクラス終了

高校生と大人の夜クラス

バレエ歴15年の高校生も

はじめたばかりのマダムも

それぞれに帰り支度

一番上手で一番年下の

アヤカちゃん　今日は何やら

鏡のぞいて　お粉はたいて

ティントルージュを付け直す

いつもはジーンズなのに

今日はふわりとワンピース

わかりやす過ぎる

“恋する乙女”

『アヤカ、デート？』

ナオミちゃんが早速つっこむ

『お母さんに言わないで』

必死で抑えるアヤカちゃん

なんかバレエでも

こういうシーン

あったなぁ

［リーズの結婚］だっけかな

厳しいお母さん

会いたい恋人

10分　いや5分でもいい

会いたい恋人

マダムたちは目配せ

“若いっていいわね”

“私にもあったな遠い昔”

“たまには化粧直して帰るか”

ポアントクラスのある日は

30分遅く終わる

アヤカちゃんの為に

今日はポアントと記憶を捏造

30分のデート

手を繋いで夜景見て

彼はホットの缶コーヒー

彼女は紙パックのプロテイン

頑張り屋さんのアヤカちゃん

背筋を伸ばしたままで

彼に甘えられるかな

って余計なお世話

『おつかれさまでした！』

慌ててショートブーツ履いて

走っていくプリマドンナ

階段　転ばないで

“狼さんに気をつけてね”

遠ざかる足音に

ナオミちゃんが手を振る

もう一人のヒロインみたいに

だいじょうぶ

［リーズの結婚］なら

ハッピーエンド

信じて　踊り続けて

ハッピーエンド

信じて　幕が降りるまで