与えよ、さらば愛されん

大学生の奥田太津生は、強姦事件で服役後に要介護となった父、性的に奔放な母のもと、弟妹の世話と父の介護を一手に担っている。父は動けない身体ながら五十音表で「死ね」と暴言を吐き、母は息子たちへの性的虐待を繰り返す。太津生自身も電車内での露出行為など歪んだ行動に走りながら、加害者家族としての重圧に苦しむ。ある日、父の被害者たちが大学に押しかけ、別の学生が身代わりとなって騒動を起こす。妹が初潮で混乱して怪我をし、友人ヒメカがDV被害に遭う中、太津生は人を助けることの意味を知る。母が近所の老人への性的暴行で逮捕され、兄が父を、姉が弟妹を引き取ると告げられる。家は取り壊され、太津生は更地で眠りながら、一人で愛を与えつつ生きていく決意をする。