修飾
吉本 冬呉
修飾
心臓の隅に落ちてた声を
拾って飾って仕立て直して
とくべつ
そしたら僕の言葉でも
見れば見るほど
他人に見せたくなってしまって
通りに並べた言葉たち
道行く人に見えるようにと
小さな台の上に乗せ
きらきら飾った言葉たち
早足で歩く大人たち
お喋りしながら歩く子供たち
誰も飾った言葉を見ずに
自分のことで忙しそうに
こんなに
誰にも見られず寂しげに
台の上でただ佇んでいた
僕は小さく笑って片付けた
片付けていると老人が
ふと足を止め たった一言
いい言葉だね と残して去った
褒められたのは飾りを外した言葉たち
僕はとっても嬉しくなって
僕はちょっぴり悲しくなった
僕の言葉は誰かに届いた
僕の飾りは意味が無かった
左の目から一筋落ちた
外した飾りの上に落ちた
濡れた飾りはきらりと光った
その輝きを見た僕は
ふっと笑って 大事に
修飾 吉本 冬呉 @Tougo_Yoshimoto
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