第3話 ファーストキスは人外転校生と
ホームルームも終わり放課後
私は、昼休みの約束通り、結木くんと帰ることに。
ちょっと緊張するが、考えても疲れるだけなので、このことを考えるのはやめた。
周りを見渡すと、視線が集まってくる。
転校生と転校初日に帰る生徒なんて、この学校ではごく稀だからだ。
騒ぎ声が聞こえて、覗いてみると
クラスの空気がとてもピリピリして
中澤と、境井が言い争いの喧嘩していたが、いつもの事なので、気にしないことにした。喧嘩するほど仲がいいとは、あの2人にはお似合いだから。
帰り道にて
「藤井さんって、好きな人とかいるの?」
突然の彼の言葉に、私は飲んでいたコーヒーを吹き出した。
「…なんでそんなこと聞くわけ?」
と、叫ぶ私。
自分の顔が今どのような表情をしているかも分からない中で。
「大丈夫?ごめん、変な事聞いて。」
「好きな人はいない。けど気になってる人は居る。」
「そっか、藤井さん可愛いもんね。」
「口説いても何も出ない。」
私は、イケメンには微塵も興味が無いとは言ったが、性格がタイプの男子には興味がある。
実際、男友達も少なくはないからだ。しかし、謎の口説耐性は生まれつきという事例は、存在しないだろう。
「藤井さん、俺のそばにいて。」
結木くんの表情が急に険しくなった。
「分かった」
人間の見た目をしている彼だが、実は怪異。これは私と彼との秘密。
その時だ。
見たことも無い化け物が、目の前に飛び出してきて、私は恐怖よりも、興奮が勝った。
普通は逆なのだろうが、人外に触れることが、幼い時から身近な環境にいて、見慣れているので、強い耐性がついたのだと思う。
「何でこんな時に出てくんだよ。」
彼は、怒りの感情混じりに呟き睨む。
結木くんの腕を見て見たら、人の腕とは異なり、"あの時"の黒い液体の腕に変化してることに気づく。
ガシッ!!っと結木くんは、化け物を掴み、地面に叩きのめした後に、凄い速度で空へ吹き飛ばす。
化け物は、星と化して静けさが戻ってくる。
私は、彼に近づき声をかけた。
「結木くん、大丈夫?」
と、彼の顔を覗いて見たら、顔の半分が溶けて彼の中身の怪異が出てる。
「…藤井さん、今近づかない方がいい。傷つけちゃ…う。」
彼は喋るのも困難になりながら、蹲っていたが、私はどうも放っておけず、彼に近づくと、私は押し倒されて、彼の顔を顔をよく見ると本能が出かけて息も荒い。
このままだと、私も彼の理性も死ぬかもしれない緊迫した状況の中で、私は、咄嗟に彼の唇に、キスをした。本当に無意識で。
「(私、何してんの。)」
本当に無意識だった上に、必死すぎていたから。
「あれ、俺何してたんだっけ。」
「記憶がねぇ。あ、藤井さん、大丈夫?藤井さん顔赤いよ。」
彼が、心配した表情で話しかけてくる。
私は、顔が真っ赤で暑くなっていて、本当に恥ずかしい感情でいっぱいな状況で。
「行こ、色々話したいから。」
「え?ちょ、藤井さん。」
と、困っている彼を他所に、私は乱暴に彼の腕を引っ張って全力ダッシュして、家へと走る。
「…///(変な感情出てこないでよ。)」
と、自分ではよく分からないが、恐らく顔を真っ赤にしたまま、恥ずかしい感情を抑えきれずに、走っていた。
数分後、ガチャッ。鍵を開けて中に入る。
親は、仕事の都合上夜まで帰ってこないので、彼を家にあげることに。
「えっと、おじゃまします。」
と、一言言った後に彼は、興味があるのか家の中をキョロキョロ見渡している。
「そんなに珍しい?人間の家って。」
「こんな家に入ったこともないから、新鮮でさ」
そうか、彼は怪異だからひとつの場所に、定住する必要は無いに等しいのか、多分。
「とりあえず、うちの部屋行こ。親夜まで帰ってこないから。」
と階段を上がって結木くんを部屋に招き入れた。
「藤井さん、俺たち、まずいことしちゃったね。」
「何が?」
「さっき、藤井さんが咄嗟に俺に、キスしちゃったでしょ。
あれで俺たち、縁が結ばれちゃったんだ。」
「は?」
本当に信じられない。たかだかキスで縁結びなど聞いたこともない。
この先、私はどうなるのか考えられないし、考えたくもない今だけは。
第4話へ続く。
突然ですが、人型怪異と同居します。 大塚信乃 @Onigiri_tabetai
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