第2話 恋と真実は気まぐれの風から
その後、昼休みの屋上にて
私は、クラスの空気に疲れて屋上でお昼ご飯を食べていた。
「はぁ、転校生ねぇ。」
お弁当に入れていた卵焼きを、頬張りながら今朝の出来事を、思い出す。
ただでさえ、女子の癖にイケメンなど微塵も興味が無い私なのだから、仕方の無いのだろう。
「食欲湧かないわ。」
溜息をつき、空を見上げていたその時。
ビュオォォォォ!!
風が強く吹いて飛びそうになって5階の屋上から、フェンスの外に投げ出される。
「え?私、死ぬの?」
と怖すぎて逆に笑顔になってしまった。人間の感情は、なぜ顔に出るのだろうか。哲学に走っている場合ではないのに、考えてしまう。
その時、なにか黒い液体状の物に、腕に巻き付けられて、引き戻されていく。
紗季「な、なに。」
腕を見て見たら、ワイシャツに謎の黒い液体状の跡が、くっきり残っており私はたいへん驚いた。
「ぎゃああ!」
「なにこれ?落ちない…。」
そうして、悲鳴をあげているうちに
目の前に人影があることに気づく。
前に居たのは、あの美男子の転校生。結木 玲だ。
「大丈夫か?」
彼から手を差し伸べられて、私はで戸惑いながらも手を取り立ち上がる。
「まぁ、なんとか」
「ていうかこのシミ、なんだと思う?」
「…。」
その質問をした途端、結木くんは
目を逸らして、気まづそうな顔をする。
「もしかして結木くんが?」
混乱する私を横目に結木くんは話し始め出した。
「怖がられるから話してないんだけど、聞く?」
「すっごい気になる。」
「実は俺、人間じゃなくて、怪異なんだ。」
「藤井さんが、さっき落ちそうになったのを助けたのは俺の能力でごめん、驚かせちゃって。」
その話を聞いた途端、私のオタク魂に火が付く。
私は、昔から変わったものだったり、人外が大好きで、
周りから、変な目で見られたけど、
それでも
「…。」
「ごめんね。嫌だったら関わらなくても。」
「……それ。」
「…え?」
「なにそれ!」
「え?」
「どういう仕組みになってるの?私、こういう怪異大好きなの。
人間型の怪異とか。」
学校では陽キャを装っている私は、実は人外限界オタク。
友達全員知っている事実で、言ってしまえば友達も全員オタクなので、隠す事ではない。
「くっ、あはははっ。」
「藤井さんって面白いね、俺興味持ってくれる子とか好きだよ」
「人外オタクを舐めるでなかれ」
誰も舐めてはないが、ドヤ顔で1回言ってみたかった事。
結木くんは、ツボに走って静かに爆笑する。ツボが浅い。
気を取り直して、私は彼に色々と質問をしてみることに。
「怪異って事は、擬態得意なの?」
「得意というか、昔からの慣れって感じ。」
「へぇ、面白いね。怪異って」
「解剖とかしないよな?」
「する訳ないでしょ、オタクと言っても、そんな趣味は無いです。」
すかさず私はツッコミを入れる。
そんな談笑を数十分の間、屋上でしていると、
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴る。
「あ、終わっちゃった。戻んなきゃ。」
と私はお弁当のフタを閉めて、立ち上がると
「藤井さん、待って。」
と彼に腕を掴まれて止めらる。
「今日放課後、一緒に帰らない?」
「え?」
「だめかな。」
そんな、悲しそうな目で見るな。
すごく罪悪感が感じられて不安になると思ってしまう私がいる。
「まぁ、別にいいけど。」
色々聞いてみたいことも山積みだし、承諾することに。
「あんがと、じゃあ、また放課後。」
と言い彼は風の如く、急いで教室に戻っていく。
「やっべ、戻んなきゃ。」
私も全力ダッシュで、教室へ戻っている最中のこと、胸が何故かドキッとしてしまう。
「何この感情、意味わかんない。」
とにかく今は急ぐ事を考え、授業に戻る。
イケメンなど、微塵も興味が無い私。
そのせいで恋など無縁だったけど、彼の影響で新しい感情を、体験した。
これから、私の学校生活はどうなっていくのか。この時は考えも出来るはずもなく、昼休みは終わっていった。
第3話に続く。
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