突然ですが、人型怪異と同居します。
大塚信乃
第1話 出会っちゃったんです。
いつもの時間に起きて、
いつもの服を着て、
いつもの駅で登校する毎日。
こんな何事もないつまらない日常が
続くのは、正直退屈だ。
「今日も今日とて寒い。」
そんなことを呟きながら、私は暖房で暖かい教室の扉を開けて、中に入る。
机の周りに、集まって喋る男子達。
窓に息を吐いて遊ぶ女子。
時刻は、8時15分を回ろうとしている。
「紗季、おはよ。」
この子は純菜。昔からの幼なじみだ
昔からと言うと、小学校低学年に
知り合い、数十年ぶりに再開した。
「おはよ〜。今日寒くね?」
「分かる!最低気温 10度下回るってさ」
「うわぁ地球低体温?」
意味不明なことを言いながら、私は席に着く。
「キーンコーンカーンコーン」と
チャイムが鳴る。
「じゃ、ホームルーム始めるな」
くせっ毛が跳ねている先生が欠伸をしながら入ってきながら眠そうに言う。
「今日は、転校生を紹介するぞ。」
先生が言った途端、クラス中がざわつき始め、雑音が響き渡る。
「この時期に転校生って珍しいな!え、女子だったらいいな!」
顔をニヤケながら、話していた中澤を、遠くから呆れた顔で見ていたクラスの人気女子・境井が
「見てあの顔、下心丸出し。」
彼女とその友達が、呆れながら中澤の顔を見ながら呟く。
その呟きを、聞き逃さず聞いていた中澤が恥ずかしがりながら叫んだ。
「なんだ、じゃあお前ら、顔が良いイケメンが来るって、知ったら同じことしねぇのか」
と言い返した。
「それはまぁ?ねぇ?」と、友達と目を合わせる。
中澤が境井を指差しながら、声を上げる。
「人のこと言えねぇじゃん」
「一々うるさい、キモ男。」
といつもの喧嘩が始まった。
先生「おい!そこ!静かにしろ!」
と先生が叱りを入れると、教室が静まり返る。
「気を取り直して、転校生を紹介します。入ってきて。」
その直後、教室の扉が開いて
日光で綺麗に光り輝く
白髪のポニーテールの美形男子が、
爽やかな笑顔で入ってきた。
女子達が奇声をあげて「美男子イケメン!」
男子達が、悔しい顔をしながら
転校生を睨みつけた。
「自己紹介をお願いします」
転校生が黒板に名前を書き終わると
「はじめまして、結木 玲と言います。よろしくお願いします。」
「じゃあ、結木の席は」
【先生と目が合う。】
「藤井の隣の席に座ってくれ」
「分かりました」
そう言うと、彼はゆっくりと歩いて近づいて微笑んでこっちを見た。
「私、藤井紗季。よろしく」
「よろしくね、藤井さん。」
挨拶を交わしたところで、周りからの視線が気になって仕方がない。
「(女子、めっちゃこっち見てる。)」
【まさかこの後、あんなことが起きるなんて、の時の私は、思いもしなかった。】
第2話に続く
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