本を借りる

本を借りた。

「アリス、マジ、エロいじゃん」

「いや、まあ、読めって」

強引に押し付けられて表紙がエッチなその本を私は借りることになった。

短歌だった。

「へえ。おもしろい」

【男の子だったらつけられたはずの名前が書いてある消火栓】

私は男の子だったらどんな名前になっていただろう。私は茉莉花まつりかだから、要はハーブの名前になるってことだよね。

「ねえ、ママ。私が男の子だったら、どんな名前になってた?」

「春樹よ。ムラカミ」

「ハルキ・ムラカミか。じゃあ、私は?」

「ジャスミンミルクティーをよく飲むでしょ」

「そうだった」

 アリスは不思議の国から来たんだろう。マッドティーパーティーを企画しなくてはね。


【出典】

手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)

穂村弘著

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2025年12月29日 14:00

それを、恋と呼ぶには透明すぎて。 石川葉 @tecona

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