禁呪

イロイロアッテナ

禁呪

暖かな春の日差しを受け、入学式を終えた僕は、晴れて大学生になった。

学部の講義、サークル活動、少し早いけど、ちょっとだけお酒も飲み、帰宅が夜遅くなっても父は何も言わなかった。

けど、母は違った。

「ちょっとあんた、夕飯食べてくるなら食べてくるで、ちゃんと言いや!」

「そんな夜更かしして!もうお母さん寝るよ!」

なぜ母親は寝るときに一方的に寝ることを宣言するのか?

そんな過干渉な母と僕の間に言い争いが増え、ついに僕が

「いい加減、子離れしなよ!」

と言うと、母は目に涙を溜めて部屋から出ていった。

少し言い過ぎたかなと心配していたら、母は父の若い頃のギターを抱えて戻ってきた。

そして、目に涙を溜めたまま、母はギターをかき鳴らし、大声で歌い出した。

「絶対零度の右手ぇー、

 封じられた記憶ぅー♪」

母の手には、僕の中2の頃のノートが握られていた。

いや、ちょ、喧嘩したけど、

それは禁呪やろ!!

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禁呪 イロイロアッテナ @IROIROATTENA

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