ゆきに触れるとき、ひなたは変わる
- ★★★ Excellent!!!
ひなたは明るくて、
ゆきは静かで、
ふたりは正反対なのに、
なぜか同じ場所で息をしている。
家では甘えてくるひなたも、
学校ではみんなの中心に立つ。
その差が大きいほど、
ゆきに向ける気持ちが
本物なんだと分かる。
でもゆきは、
少しだけ世界を広げたかった。
ひなたとは違う友達を
作ってみたかった。
その小さな一歩が、
ひなたの胸の奥に波をつくる。
怒っているわけじゃない。
嫌っているわけでもない。
ただ——
ゆきを大事に思う気持ちが
形を変えて溢れただけ。
ふたりはまだ、
その距離の取り方を
探している途中。
甘さと不安が混じった、
“心の成長の手前”みたいな物語だった。