悩みを箇条書きしたような文

れぷり

人間的、機械的

 人は特別だと思っていた

 生き物だから、ただの事実に基づく機械的なものとは違って、判断や結論に気分や感情が反映される

 どんなに非効率的であっても間違っていても、そこに人間らしさという温かみがあり、尊いのだと


 でも実は違うんじゃないかと思うようになった

 人も機械的なんじゃないか

 他でもなく自分を客観的に見て、そう思ってしまった


 人はストレスによって様々な症状が身体に出る

 うちの家系は喉に現れる事がままあった

 ただのうがいをするだけで嗚咽する

 そして咳がおさまらなくなる

 特に気にしなかったけれども

 嗚咽したところでうがいはすでに9割方終わっているし、

 咳をして困ることといえば、騒音と喉の負担を減らそうとして、変な咳になっているのを親に注意されることくらい

 でもやはり親は心配して病院に連れて行かれた

 そして「落ち込んだ気分が少し軽くなる薬」を処方された

 要するに抗うつ薬だ


 ──気持ち悪いと思った


 そもそもの話、鬱など治したいと思っていなかったのだけれども


 元から薬の事が怖かった

 別に幼い頃からお世話になっているし、そもそも今まで飲んできたものに対しては当てはまらない


 私が怖いのはodや麻薬に類いするものだ

 ニュースで麻薬を吸い、狂ったように笑っている人達の動画を見て気絶した事がある

 学校で行われる薬物乱用防止教室で見たビデオでは、直接的な映像が流れたわけではないのに、ペンを持つ手に力が入らず文字が書けなかった

 幼い頃は平気だった麻酔もダメになってしまい、歯医者で麻酔をした日には脳貧血からか視界が真っ暗になり、回復するまでにしばらく時間を要した


 薬に対して恐怖してしまう事を、中学生の頃から大人になった今までずっと悩んできた

 けれど言葉にすることは叶わなかった

 でも最近、少しずつ理解してきたような気がしている


 きっと人工的、もしくは化学的に解明されている物質が思考を犯しているような感覚に、たまらなく嫌悪感を抱くのだ

 麻薬を吸引する事で、人が変わったように明るく笑ったり

 薬を飲む事で、性格だと思っていた根暗な自分が変えられると言われたり


 機械には無い不規則性、一人一人違う個性と呼べる気質が人にはあって尊いのだと信じていたのに、それが薬一つで容易に覆せる

 それは私にとって、人の脳を自由にいじる事ができると言われたも同義だった


 だが、化学物質が脳に作用するのは薬を摂取した時のみではない

 興奮した時にはドーパミンが出るし、リラックスすればセロトニンが出る

 それ込みで人間だと言われればそれまでだが、脳の異常でそれらが分泌されないとしたら、その人の精神は不安定に傾いていく事は確実

 脳内物質の分泌量でその人の気分は決まっていると言ってもあながち間違いではないだろう

 それが実に規律的で機械のように感じる


 自分が機械的だから、自らの力で生きているという実感も薄れているのだと思う


 人と縁を切ることに何も感じない

 心から笑えることも無くなって、顔に張り付けたような笑顔で腹から笑い声を絞り出す

 自分がよく分からない


 後から見返そうと思ったものをまとめた動画欄は、笑い上手な人が爆笑しているようなもので埋め尽くされている

 最近、よく喋りよく笑う人との交流が増えてきた

 自分で補えない、笑うという成分を摂取するかのように


 まるでAI学習のようだ

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悩みを箇条書きしたような文 れぷり @yuzuame

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