逢魔が時に漂う夕餉の香り。日常と非日常と。

何処か現実離れした夕暮れの時間に、見知った二人の偶然の出会い。

そこから始まる会話の中で夕暮れの魅力がたっぷりと綴られて行きます。

此処ではない、遠い処に憧れを感じる男の子と、その中に居ながら日常の出来事に思いを馳せる女の子と。

時に合わさったり、すれ違ったり。

それら全てが夕暮れの曖昧な境界線の上で交差し、区別が付かなくなって行く様な、もしかしたら、表向きの姿は違っても、それ等は皆同じ物なのかも知れない、という不思議な感覚を味わう事が出来ます。

言葉選びがとても巧みで、矛盾に満ちた様々な事を一つの物語内に落とし込む作者様の描く世界に浸る事が出来ました。