悲劇と、秘密と、復讐と
- ★★★ Excellent!!!
ひとりの魔女が処刑される。
物語はそう幕開け、しかし魔女の命は途切れることなく……ある兄妹と出会う。
なぜ魔女は処刑されたのか、どこか描写に違和感がある王族とはなんなのか。
そもそもなぜ魔女は首だけになって生きているのか。
物語の味わいは章を追うごとに変化を遂げ、世界に潜む悪意が明かされる。
それに抗う魔女の行動、そして兄妹のちいさな、けれど得がたい勇気。
物語のおわりに、この世界が「過去」から解き放たれたことを読者は確信する。
けれども未来は見えない。
魔女は、過去を清算するために戦ったのだ。
未来は、走り去った兄妹の足跡の先にある、そんな希望のある物語である。