木に首をもがれる。 そんな人物が出てくるシーンで始まる。 緊迫感はなく、どこか夢の風景のよう。 次から次へと繰り出される光景も、磨り硝子を通して見る悪夢のよう。 悪夢は見る間におおきく育ち、犠牲になるひと加速度的に増えていく。 それこそ、世界そのものを呑み尽くそうとする勢いで。 その結末は…… 結末に至っても、どこか夢の残滓に足を取られたまま、そんな読み心地の幻想小説です。