此処に作者、佐藤宇佳子と名付く真理を見る。

人気作家のプライベートを垣間見る、この
徒然草は、煽り文にある通り三話と四話の
対比が際立っている。

  つまり、 好き と 嫌い。

これはあくまで作者個人の 感覚 であり
もしかしたら共感する者もいるのでは
ないかという、一縷の予感を秘めてはいる
が、そこは作者の卓越した感性。
 一筋縄では同好の、或いは同嫌の士は
見つけられないかも知れない。取り分け、
好きのハードルは高い。

作者の思いつくままに徒然を書きつつも
矢張りその根底には

 作家としての 意志 が流れている。

ものを書く以上は、どんなジャンルであれ
根底には何某かの意志、思想、提言が
あって然り。
 この小さなエッセイは、かの作家
佐藤宇佳子なる宇宙と、芯のある潔い志が
垣間見えるものとなっている。

もう既に、様々な作品により作家としての
信頼は高いが、至極内面的なこの掌編に
余すところなくその片鱗が輝いている。


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