第2話 きっかけ 1

きっかけ



 好きなこと、遊ぶこと。楽しいこと。

 嫌いなこと、学校の勉強。


 瑞季みずき

 公立小学校に通う5年生。

 身長が思うように伸びてくれず、背の順で並ぶと一番前を争うことが多いのが本人の密かな悩み。

 好きなことはゲーム。Switchももちろん。カードゲーム、ボードゲーム、最近流行りのsteamを題材にしたゲームもお気に入りで、「ゲーム」と付くものなら触手が動くよう。


 これだけ聞くとインドアなイメージだけれども、公園遊びも大好きで砂と泥だらけで帰って来た日には、「高学年って砂遊びするの!?」と母親に驚かれ、ブランコは周りが恐怖を抱くほど高くまで漕ぐ。

 スポーツはメジャーなものは体験してしっくりこなく、友だちから誘われてホッケーを始めたところどハマりしてクラブチームに入る程の熱量。


 そんなごくごく「普通」のいわゆる小学生男子。


 どこにでもいる、ものすごく目立つわけでもなく、かと言って周囲から孤立するわけでもなく、休み時間になると教室の机の周りには男女関係なくクラスメイトが集まり、放課後も同じように男女関係なく習い事のない友だちと約束をして夕方の解散時間ギリギリまで遊ぶ。そんな毎日を送る生活。


 が、楽しいことばかり起こるわけじゃないのが現実リアルで。日常に変化が訪れ、毎日の少しばかりの歪さが積み重なっていき、ミズキの心を同じく少しずつ、けれども確実に蝕んでいった。

 そのきっかけはなんだったのかミズキ本人もわからず、気づいた時には自分一人ではどうにもならなくなっていた。

 最初はちょっとした「いじり」だったようにも思えたが、小学男子のよくある話とでもいうようにそれは勢いを増していき、どんどんエスカレートしていった。

 


 

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僕ともふもふが過ごした日  ユズ @yu_zu__ha___

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