眠れぬ夜の物語
路輪 一人
第1話 ハーハームラムダの深い夜
ハーハームラムダの夜は ふつつかにざわめく
愛とラット、ティンガディンガーが ハツカネズミによりそった
蓬莱の果て リトルペイジーのお話
蝶が花の群れに瞬いたのでした。
二つと二十日の夜でした たまさかに月が落ちて 夜露が星を濡らす頃
池のほとりに立ったのは ふくろう色のペチコート 宵待ち草に誘われた
濡れ羽色した髪色の それはそれは可愛らしい 白い肌した異国の少女
指の先には真珠があって 沈めた先の湖面には 月が帰っていったのでした
月が帰っていったのでした
月のしずくは真珠を包み 夜空へそっと拾い上げ 瞬く星に変えました
瞬く星に変えました
ふくろうの羽が翻り 夜のしじまに水の音 ほうほうと嘯く風の音に
大きな瞳を閉じた後 少女は香りに横たわり 大きく息を吸いました
香りはセージ ローズマリー 絆された彼女の瞳から 大きな涙が転がって
池に落ち込み真珠になって 次々空へと浮かびます
浮かんだ端から雫になって 池の中では魚が躍る
少女は一人で眠るのです 少女は一人で眠るのです
池の水は深く暗く 重い夜の毛布になって 高い場所から木霊する
ガラス細工の跳ねる音
落ち込み 淀んで 暗くなって やがて全ては雲の上
いつの間にやら朝が来て 東の果ての朝焼けに 白い虹を残したまんま
全ては白く消えるのです。全ては
ハーハームラムダの深い夜は 二つと二十日の夜更けだけ
水の色して現れる スワイムレンガの物語。
眠れぬ夜の物語 路輪 一人 @hitori_mitiwa
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