書き上げられて、無事に届けられて、ちょっと感極まって泣いているのですが、
この物語の根幹にある体験が「東日本大震災」でした。あの映像。遠く九州の地に住む私の元に、自然という暴力が襲い掛かる様を、毎日、毎日、ネットを開けばそこに、証明の様に、表示されます。
恐ろしかった。そして、様々な意見が飛び交います。日本はもう人の住めない国である事、恐ろしい陰謀と更なる災害の予想、情報を得たくて毎日齧りつくようにインターネットに縋りました。
けれども、私がギリギリ踏みとどまった原因が
「仕事」でした。
明日も仕事がある。だからどうしても深夜帯のポストは無視してしまう。そしてそのインターバルのあとには、必ず陰謀と妄想を打ち消す誰かのポストが存在するんです。
だから私は考えました。「仕事をしよう」
「私如きの小さな力が何になるものか。ならば行えることは、自身に与えられた仕事を粛々と行うだけだ。そして、誰かに救いを求められたら、迷いなくその手を取れるように自分と生活を整えよう」と。
ネット世界、もしかしたら現実世界も、嘘と虚飾の世界です。けれどもその嘘に抗うには、自身の仕事を基にした生活を墨守するしかない。暇に、嘘は忍び込みます。孤独に陰謀論は囁きます。
この物語は全てを解決はしませんが、それでも登場人物たちが描いたこの結末に、何かしらを感じて下されば、これ以上の幸せはありません。
暗い話で申し訳ありませんでした。
読んでくださった貴方に心からの感謝を。
