本作は創作落語。猟師がべっぴんさんに「山の麓まで送ってくれ」と頼まれるところから物語は始まります。
彼は女性が化け狸であることを見抜くも、展開は次々と変化していき――?
本作は導入部分を除くと、全体がまるで脚本のような会話劇で構成されています。会話はまさに時代劇らしい口調でありながらスラスラと読めます。それは本当に落語を聞いているかのよう。
ところどころで的確に笑いのポイントを押さえつつ、ラストでドカンとオトす。落語としての完成形だと感じました。
文章で人を笑わせるのって凄く難しいし高度なことだと思うんですが、本作はそれを見事に成し遂げています。イチオシです!
一匹のたぬきが、漁師に捕まってしまいまして。
こやつ今日、人間に化けて騙せたら、晴れてたぬきの師匠に認められて仮免をもらえるっていう大事な日にございました。そんな日にめざとい漁師に捕まっちまうんだから、ついてねえってなもんです。
危うく狸汁にされちまうってなところに、一人の坊さんが。
漁師に徳を説いて狸を帰してやるよう説得します。
しかし漁師も商売。坊さんは、百文というお金で狸を買い取ろうとしたのに……
ここで狸がヘソ曲げた!
「生きとし生きる者、仏の前では同じ命なら、百文は安すぎる! 一両払ってくれ!」
などと余計なことを言うので、話がややこしくなります。
一両なんて言われてもパッとしないでしょうが、これは今の価値で言うと
だいたい二万円近いお金です!
気まぐれで助けた狸に、二万円にございますよ!?
皆様なら払えますでしょうか……?
と、こう言うお話にございます。
山本先生の新作落語のようですが、古典っぽい部分があり、
そうですなあ現代で言うと……春風亭 柳好さんあたりが噺そうですな。
オチは、ああ、やっぱり……ってな具合です!
ぜひ! ご一読を!!